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CL王者との戦いが日常的に――。
ブンデス日本人選手の“幸福”な環境。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byVI-Images via Getty Images
posted2013/05/29 11:05
終了間際にロッベン(写真左)が決勝ゴール。バイエルンが2-1でドルトムントを下して欧州王者に。来季は名将グアルディオラを監督に迎え、ゲッツェの獲得などさらなる戦力の充実をはかる。
「バイエルンの下で、欧州における新時代が始まった可能性は大いにある」
史上初めてブンデスリーガ勢同士の対決となったチャンピオンズリーグ(CL)決勝を制した後、バイエルンのハインケス監督は記者たちの前でそう話した。
ヨーロッパサッカーが新たな時代を迎えようとしていることは、ドイツの地で戦う日本人選手たちにとっても大きな意味を持っている。
ブンデスリーガで5年半にわたり戦い続けてきたヴォルフスブルクの長谷部誠は、新たな欧州王者に対してこんな感想を抱いている。
「今季のバイエルンは、今までで一番強い感じがしますね。バイエルンはやっぱり、ここ2、3年、(ドルトムントに遅れを取って)非常に悔しい思いをしているので、そういう意味ですごく今季にかける思いが強いなというのはシーズンを通して感じていたし、補強を見ていてもそうです」
そう語る長谷部にとって、バイエルンと対戦する機会は大きな意味を持っていた。4月にドイツ杯準決勝でバイエルンに敗れた後には、悔しさもにじませながら世界との差を肌で感じた試合をこう振り返った。
「そんなに何回もバイエルンとできる訳じゃないので、こういうチャンスをいかに生かすか。今日みたいな楽しいゲームを、もっともっとやりたいなと思いました」
「バイエルンはちゃんとやることをやっている」(清武弘嗣)
フランクフルトで左MFとしてプレーしている乾貴士は、バイエルンがバルセロナを破った準決勝を見て、バイエルンの両サイドの働きに感銘を受けると同時に、自身との差を冷静に測っていた。
「ロッベンとリベリーのあの守備! バルサ相手にあんだけ必死にロッベンとリベリーが守備している。ドイツであんなに守備しているところなんて、見たことなかったので……。そう考えると、まだ世界との差はメチャメチャあるのかなと思いましたね」
シュツットガルトの酒井高徳は、バイエルンと対戦した後、「世界でもトップレベルのアタッカーと対戦したことで、どういうところが通用して、どういうところをケアしなきゃいけないというのがわかった」と語り、ニュルンベルクの清武弘嗣はバイエルンと戦ったことで大切なことを改めて認識したという。
「バイエルンはちゃんとやることをやっている。そりゃ、個人のレベルもそうですけど、当たり前のことを当たり前にやるっていうのが一番すごいんじゃないですかね。リベリーだって、裏にぬけたり、足元で受けたり、そういうことをちゃんとやっていましたから。ああいうのが一番大事なのだと思います」