日本代表、2014年ブラジルへBACK NUMBER
<特別インタビュー>
サウサンプトンでの挫折から甦るか!?
再び代表へ――李忠成の臥薪嘗胆。
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byToshiya Kondo
posted2013/05/11 08:01
Jリーグに復帰した今季は途中出場を含め全試合に出場中(2013年5月6日現在)。2012年2月のW杯3次予選ウズベキスタン戦以降遠ざかっている代表への思いを語った。
ケガの影響で出場機会を失い、日本代表からも遠ざかる。
――精神的なストレスもあるのでは?
「ありますよ」
――やっぱり。
「体のコンディションはつくれているし、試合勘もある程度戻ったとは思うけれど、試合のなかでのリズムというか、疲れているときの回復の仕方だったりとか、そういうものはやっぱり試合に出ないとなかなかマッチングできないものなので。それに正直(先発で出られない)もどかしさや悔しさ、いろんな思いが混ざって何とも言えない気持ちもあって、メンタルのコントロールはなかなか、難しいですね」
彼は生半可な気持ちで帰国してきたわけではない。
サウサンプトンでのチャレンジは満足いくものではなかった。チャンピオンシップで半シーズン、プレミアで半シーズン。ゴールを決めるなど順調な滑り出しを見せながらも、その大半をケガとリハビリで過ごす不本意な1年になった。ケガの影響で大きく出遅れたことも、プレミアで出場機会を得られなかった要因のひとつ。その結果、定着していた日本代表にも呼ばれなくなった。
「シュートを打つ強い意識をプレミアで吸収した」
しかしながら李には苦境に立たされながらもイギリスの地で成長を図ってきたという自負があった。代表復帰を念頭に置きながら自分の成長をプレーで証明するには、サウサンプトンに残るべきか、古巣からのオファーを引き受けるべきか。コンディションが上がってきて、プレミアで出場機会を得られそうな感触もあった。しかし熟慮の末、彼は6月末までの期限付きという形でJリーグ復帰という道を選択した。
――まずサウサンプトンでのプレーについて。サンフレッチェ広島から1月下旬に移籍して、2月18日のダービー戦ではペナルティーボックス左の位置からミドルシュートで初ゴールを決めました。マーカーを振り切らないままでもシュートコースが見えたら迷わず打ちましたよね。あれはインパクトも大きかったのでは。
「ゴールが見えたらシュートを打つ意識が向こうはかなり強い。そこは日本にあまりない要素だったので吸収したところです。練習中から意識できていて、試合でもゴールが見えたら打ってやろうって思っていました。結果の部分でアシストをしてそろそろゴールかなというところで点を取れたので、うまくチームの流れにも入っていけた。そこから(ゴールは)取れなかったけれど、PKを取ったりとかアシストしたりとかチームに貢献できていた。でもあそこでガッツリとケガをしてしまって……」