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<特別インタビュー>
サウサンプトンでの挫折から甦るか!?
再び代表へ――李忠成の臥薪嘗胆。 

text by

二宮寿朗

二宮寿朗Toshio Ninomiya

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photograph byToshiya Kondo

posted2013/05/11 08:01

<特別インタビュー>サウサンプトンでの挫折から甦るか!?再び代表へ――李忠成の臥薪嘗胆。<Number Web> photograph by Toshiya Kondo

Jリーグに復帰した今季は途中出場を含め全試合に出場中(2013年5月6日現在)。2012年2月のW杯3次予選ウズベキスタン戦以降遠ざかっている代表への思いを語った。

FC東京で成長を遂げなければ、W杯では戦えない。

――代表は5月に親善試合ブルガリア戦、そして6月に入ると最終予選のオーストラリア戦、イラク戦があってコンフェデレーションズカップを迎えるハードスケジュールになります。夏にかけて代表の試合が増えてくるし、復帰のチャンスも出てくると思いますが。

「まず東京で結果を出していかないとどうしようもない。今はそれしか言いようがないですよ。ただ、僕の目標は来年のブラジルワールドカップに出て優勝すること。出るからには優勝ってみんな思ってる。じゃあ自分がそこで何点取って、チームに貢献できるのかと考えたときに、このままじゃだめだと思って海外に飛び出したんです。ひと皮むけそうなところで、結局むけきれないまま中途半端な状態になっているのが今。だからこそ、調子が上がっているこのときを大事にして、ひと皮むけておきたい。単に代表に選ばれたら満足というんじゃないんです。ひと皮むけきったところでW杯を迎えなきゃいけない。

 東京に移籍してきて、ここで成長している感触はあります。チームとのフィーリングもいいと思うので。もしひと皮むけることができれば、W杯本大会で2、3点は取れる自信がつくと思っています」

困難を乗り越えるたびに大きくなった不屈の精神力。

 今は耐える時期。

 調子がいい分、抱えるストレスが大きくなる可能性もある。しかしながら、李忠成という男はこれまでも不屈の精神で、困難を乗り越えてきた。

 柏レイソルでもサンフレッチェ広島でも控えの立場から彼の物語は始まっている。特に柏時代は石崎信弘監督になかなか使ってもらえず、ケガ人の代役としてシーズン初先発したのが移籍2年目のJ2コンサドーレ札幌戦(2006年4月22日)だった。「結果を出せなかったらもう終わり」とまで追い込まれていた。だが李はここでJリーグ初ゴールを決め、レギュラーの座を掴んでいった経緯がある。

 ザックジャパンでもそうだった。チャンスはきっと来る。様々な経験を経て精神的にたくましくなった李は控えの立場ながら腐ることなく向上心を持って取り組んでいった。その結果、アジアカップで優勝に導くあの決勝ボレーが生まれたわけである。

 不屈の魂――。それこそが李忠成のたまらない魅力であり、今そこにある試練もきっと李を成長させる糧となるに違いない。

【次ページ】 ハングリーなU-21プレミアリーグの経験をプラスに。

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