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浦和がリッピの広州恒大を撃破!
阿部勇樹が見せた“前に出る勇気”。
text by
茂野聡士Satoshi Shigeno
photograph byGetty Images
posted2013/04/25 12:00
チーム2点目となるゴールを決めた直後、マルシオと抱き合って喜ぶ阿部(写真左)。試合後には「チームに迷惑をかけました。精神的にまだまだ弱い」とさらなる飛躍を誓った。
ACLグループリーグF第5戦、浦和レッズvs.広州恒大(中国)の72分。広州恒大のテクニカルエリアで起きた出来事に、埼玉スタジアムがどよめいた。
直前のスローインの判定に不服を感じたマルチェロ・リッピ監督が自分の近くに置いてあったペットボトルを蹴散らしたのだ。この行動は第4審判にチェックされていて、リッピ監督は退席処分となった。
試合後の記者会見、リッピ監督に代わって出席したマッダローニ・コーチはこの一件を「監督とレフェリーの間で誤解があった」と煙に巻いたが、このシーンの直前に浦和はマルシオがチーム3点目となるPKを決めて勝利に大きく近づいていた。リッピ監督にしてみればこの判定は、自らが率いるチームに対して溜まったフラストレーションの捌け口でしかなかったのかもしれない。
浦和はJリーグ、そしてACLでも貫いている後方からのポゼッションサッカーをこの日も見せたが、広州恒大は前半、遮二無二プレスを掛けずにペナルティエリアで跳ね返す“安全第一”のディフェンスを敷いてきた。浦和はボールを保持するものの、ラストパスやシュートといった最後の局面でズレが生じて、なかなか決定機を創出できなかった。
そんな状況の中で、キックオフ時からテクニカルエリアに出て細かなポジショニングの指示を出し続ける浦和のミハイロ・ペトロビッチ(以下、ミシャ)監督。一方で、リッピ監督は降りしきる雨もあってベンチから出て指示を送るシーンは少なく、余裕の素振りだった。
前半に阿部がPK失敗。原口元気も怪我で欠いた浦和だったが……。
試合は23分にマルシオがPKを獲得したが、阿部勇樹の放った一撃はポスト直撃で失敗。逆に36分には森脇良太のミスからボールを奪われ、パラグアイ代表FWルーカス・バリオスに難なくGK加藤順大との1対1を決められて先制点を許した。最終戦までACL決勝トーナメント進出の可能性を残すためには勝ち点3獲得が必須の浦和にとってみれば、痛恨の失点である。
また、浦和は4日前に行われた“さいたまダービー”大宮戦で負傷交代した原口元気が、この日はメンバー外。パスワークで崩すスタイルの中で強引に局面を打開しうる貴重なアタッカーの不在もあって、苦しい状況に立たされていた。