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浦和がリッピの広州恒大を撃破!
阿部勇樹が見せた“前に出る勇気”。
text by
茂野聡士Satoshi Shigeno
photograph byGetty Images
posted2013/04/25 12:00
チーム2点目となるゴールを決めた直後、マルシオと抱き合って喜ぶ阿部(写真左)。試合後には「チームに迷惑をかけました。精神的にまだまだ弱い」とさらなる飛躍を誓った。
浦和のパスサッカーを生き返らせた“機転と勇気”。
ミシャ体制の浦和はボールを繋いでいくスタイルゆえに、ややもすると“パスで崩し切ろう”という意図が強くなりすぎるケースがある。相手にゴール前を固められると浦和の前線には高さがないため、単純なクロスでは跳ね返されてしまうからだ。
そのジレンマから抜け出すためには相手守備陣の読みを外す“機転と勇気”がキーポイントとなる。平川の思い切りのいいシュート、阿部の攻撃参加から得点が生まれたことは、決して偶然ではないのだ。
「自分たちのサッカーをやり切れば、相手は関係ない」という哲学を持つミシャ。もちろん相手ごとに最低限の対策はあるだろうが、パスワークを武器に主導権を握って試合を進める志向を変えることは考えづらい。だがミシャとしては、「自分たちのサッカー」にプラスアルファとなるプレーを個々の選手たちに求めていたはずだ。
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浦和は87分に1点を返されたが、結局3-2で勝利した。
5月1日に行われる最終戦にグループリーグ突破の望みをつないだが、アウェーでのムアントン・ユナイテッド(タイ)戦に勝利し、なおかつ全北現代(韓国)が広州恒大に敗れれば突破となる厳しい条件である。
それでも、浦和は“さいたまダービー”での敗戦を引きずらず、アジア随一の資金力を持つ広州恒大相手に結果を残した。リッピ監督が率いていなかった時期も含めJリーグ勢として初めて広州恒大に勝利したこととなった。
ビルドアップでのミスが散見するなど完璧なゲーム運びではなかったが、今の浦和は、悪い流れをすぐに断ち切る粘り強さ、そして真の勝負強さまでをも身につけようとしている。