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平野歩夢が語っていた“競技への恐怖心”「自分のやっていることが怖い」7m落下の大ケガから復活“本当のスゴさ”…ミラノ五輪で最後に挑んだ“特別なエア”
posted2026/02/15 06:02
直前の大ケガを乗り越え、ミラノ五輪の舞台に立った平野歩夢。競技後に笑顔を浮かべていた
text by

松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
Nanae Suzuki/JMPA
それは長く記憶されるべき、忘れがたい時間であった。
2月13日、スノーボード男子ハーフパイプ決勝。平野歩夢が披露したのは、そう表すべきパフォーマンスだった。
順位は7位。それだけをとれば、銀メダルを獲得したソチや平昌、金メダルを手にした北京、これら過去のオリンピックとは大きく異なるかもしれない。
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でも、順位にとどまらない、大きな価値がそこにあった。
平野が3回目の最後に見せた“特別なエア”
転倒で終えた1回目のあとの2本に、平野の真骨頂があった。
2回目の試技。1本目でスイッチバックダブルコーク1260を決めると、続いてキャブダブルコーク1440も成功。続いて行ったのは、1回目において試合で初めて挑み失敗していたフロントサイドダブルコーク1620。これを成功させる。
さらにダブルコーク1260、フロントサイドトリプルコーク1440を決めてフィニッシュ。
会心の演技と言ってよかった。
ただ、得点は伸びなかった。予想されたところには遠かった。
3回目も積極的に攻めに出る。4本目には、ダブルコーク1260クリップラージャパングラブを行う。着地することができず転倒となったが、それもまた、攻めの姿勢を貫いたことを示していた。大怪我を負う要因となったエアであるからだ。
結果、7位となった試合を終えて、平野はこう話している。
「今自分ができることは、この状態の中ですべて出し切れたのかなっていうところは、一つあるのかなと思っていて、結果としては悔しいんですけど、これまでやってきたことは何一つ無駄ではないと思うので、またゼロからこの悔しさをつなげていけるような、そういう風に思っていますね」
「ほんとう、ここに来る数日前までは、ここに来れるか来れないかの葛藤があったので」


