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「お前はベンチ要員」とモウリーニョ。
行き場なきカカの孤独な戦いは続く。 

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工藤拓

工藤拓Taku Kudo

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posted2012/09/06 10:30

「お前はベンチ要員」とモウリーニョ。行き場なきカカの孤独な戦いは続く。<Number Web> photograph by AFLO

サンティアゴ・ベルナベウのベンチに座るカカ(写真右)。かつてのバロンドーラ―は再び輝けるのか。

「今季お前はベンチ要員となる。移籍先を探せ」

「選手全員がチームに貢献した。彼らに対する感謝の形として、来季のプレシーズンには全員を歓迎する」

 5月12日、4人のアシスタントコーチと共に昨季最後の会見を行ったモウリーニョは、史上初の勝ち点100を獲得してのリーグ制覇を成し遂げた選手全員を新シーズンでも戦力として考える意向を示した。

 だが実際に今夏のプレシーズンがはじまると、指揮官は少数精鋭のチームを構成すべくハミト・アルティントップ、ヌリ・サヒン、エステバン・グラネロら控えメンバーの人員整理に着手しはじめる。

 カカもそのうちの1人だった。7月末、彼はスタジアムのオフィスにて「今季お前はベンチ要員となる。移籍先を探せ」とモウリーニョの口から直接構想外であることを言い渡されたのである。

財政的に苦しい古巣ミランから、完全移籍のオファーは無く。

 だが不況が続くこのご時世、クラブが放出の条件とした移籍金2500万ユーロに加え、手取り額900万ユーロもの高給取りを獲得できるクラブはそう多くない。これまでパリ・サンジェルマンやMLSのニューヨーク・レッドブルズ、中国リーグの広州恒大など獲得を検討中と言われるクラブの名はいくつも挙がったが、そのほとんどは噂の域を出なかった。

 カカが復帰を望んでいた古巣ミランはイブラヒモビッチやチアゴ・シウバを放出するほど財政的に苦しい状況にあり、年俸の半額のみ支払う形でのレンタル移籍を申し出ることしかできなかった。それは完全移籍を条件とするマドリーにとって受け入れ難いものだった。

妻カロリーナの口から出たブラジル帰国発言の真偽。

「私達はサンパウロへ戻る準備をしているの。もしカカがマドリーを出ていくことになれば、他の国に行くつもりはないから」

 8月末にはカカの妻カロリーナ・セリコによるブラジル帰国発言も飛び出し、古巣サンパウロへの復帰説も浮上。だがほどなく同クラブの会長は「カカとの接触は何もない。彼の価格は高過ぎて我々のキャパシティを超えている」と可能性を否定していた。

【次ページ】 「カカが残るなら大歓迎」と指揮官は言ったが……。

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