ドイツW杯の悪夢をなぞるようだったオーストラリア戦。

　オーストラリアとの決戦。岡田はベンチを立って、鋭い眼光で試合を眺めていた。

　フィジカルを全面的に押し出してくるオーストラリアは、本大会を想定したときの格好の相手と言えた。

　だが、結果は3年前のドイツW杯をなぞるように1点先制した後、相手のパワープレーに対応できず、逆転負けを喫してしまう。中村俊輔、遠藤保仁ら中心選手が不在だったといっても、ハリー・キューウェルらを欠いたオーストラリアとて同じこと。「ベスト4」への道のりが、とてつもなく険しいものであると痛感させられる試合内容であった。

　試合後、プレスルーム内に設置されたインタビュースペースに足を運んだ岡田は、いつものように表情を変えることはなかった。

「この1試合で悲観することもないと思っています。チャンスをつくっていたし、もう少し全体を押し上げ、こぼれ球を拾って展開していければ（よかった）。それほどすべてを変える必要はないと思います」

　この先、嵐が来ようが、何が起ころうが、岡田は己の信念を貫いて、揺るぎなく突き進むことだろう。

　ただ、その指針が日本にまばゆい輝きをもたらすものかどうかは、今はまだ誰にも分からない。