日本代表、2014年ブラジルへBACK NUMBER
徹底的に守備重視のオマーンを相手に
ザックジャパンはどう戦うのか?
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byTakuya Sugiyama
posted2012/06/02 08:02
2006年のドイツW杯から、南アW杯、そして現在のブラジルW杯予選と、長年にわたって日本代表を支えてきたチーム最年長、チーム最多キャップ選手の遠藤保仁。まさに“日本サッカーの鉄人”といえる。
相手がどうあろうと、自分たちのサッカーを貫くこと。
ボランチでゲームを組み立てる遠藤保仁は31日の練習後、言葉を選びながら落ち着いた口調で語った。
「相手が大方の予想どおりに(引いて守って)きても、日本としては素早くボールを回しながら攻めきればいいだけのこと。要は自分たちのサッカーをできるかどうか。向こうは日本のサッカーをさせないようにしてくるとは思うけど、それ以上のことをやれば問題ないんじゃないかと思っています。自分たちの力を100%出し切れば、負ける相手ではないと思うんで」
「それ以上」というのは、オマーンの想定を上回るような攻撃を指す。高い位置でキープを続け、ピッチをワイドに使う。相手を素早いパスワークと緩急で揺さぶって最終ラインにギャップを生みだし、そこからシュートチャンスをつくるスピーディーかつ圧倒的な攻撃。相手をおびき出すにはミドルシュートも有効になってくるはず。それらを繰り返して“日本らしく”こじ開けるつもりでいる。
「相手のウイークポイントもしっかり頭に入れておきたい」とザッケローニからは攻めどころの指示もあったようで、練習試合のなかで攻撃のイメージをすり合わせたようだ。
引いて下がる相手をパスでつないで崩し切るのはなかなか難しい。とはいっても遠藤からしてみれば相手に合わせるつもりなど毛頭なく、オマーンを必要以上に大きく見るつもりもない。臨機応変にカウンターやロングボールも使うだろうが、パスサッカーへのこだわりが基本線にある。
3次予選ではカウンターでオーストラリアを撃破しているオマーン。
ただ最終予選の戦いにおいて忘れてならないのが「リスクマネジメント」である。
いくら得点力の乏しいオマーンとはいっても、3次予選では鋭いカウンターでオーストラリアから1点をもぎ取って勝利を収めている。軽率なパスミスは命取りになる。
それに独特な雰囲気に包まれ、特に初戦ともなると浮き足立ってしまう危険性もある。勝ち点1でいいオマーンよりも勝ち点3が義務付けられる日本のほうがプレッシャーはのしかかる。