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<オマーン戦を前に元日本代表10番が語る> 中村俊輔 「W杯最終予選が教えてくれたこと」
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byTakuya Sugiyama
posted2012/06/03 06:00
日本代表引退からまもなく2年が経とうとしている。
8年にわたり10番を背負い、大黒柱として2度のW杯予選を経験した男が、
今だからこそ明かす試行錯誤の記録――。
8年にわたり10番を背負い、大黒柱として2度のW杯予選を経験した男が、
今だからこそ明かす試行錯誤の記録――。
称賛を受けたこと数知れず、バッシングを浴びたこと数知れず。
欧州でプレーしながら長きにわたって日本代表の「10番」を背負ってきた中村俊輔は、良きにつけ悪しきにつけ、その批評の対象になってきた。たとえそれが「10番」の宿命だとしても、彼ほど長いスパンで重圧を最前線で受けてきたプレーヤーは他にいないだろう。
そんな中村も代表から身を引いて2年近くになる。横浜F・マリノスに復帰して3年目のシーズン。チームの活動に専念した充実した日々を送っている。
重圧のなかを突っ走ってきたからこそ後で気づくこともあれば、代表や欧州の“喧騒”から離れて落ち着いてサッカーと向き合っている今だからこそ見えてきたものもある。
自己の成長を促すために17年間つづってきたサッカーノートには書ききれない、心に留めてきた「覚おぼえがき書」が中村のなかで一つひとつ整理されようとしている。今年34歳、キャリアの終盤を迎えている中村俊輔が、自分の経験を踏まえてサッカーを多角的に語る――。
第一回目のテーマは「W杯最終予選の記憶」。中村はドイツW杯、南アフリカW杯の最終予選でいずれもチームの中心として予選突破に貢献したが、決して簡単な道のりではなかった。ドイツW杯の際は初戦の北朝鮮戦(ホーム)を皮切りに序盤、綱渡りの試合が続いた。