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早大の大石達也、中大の澤村拓一。
生で見ておきたい逸材たちの剛速球。
text by
小関順二Junji Koseki
photograph bySPORTS NIPPON
posted2010/04/26 10:30
4月13日、国士舘戦1回戦で勝利投手となった中大・澤村。最速153kmの直球に多彩な変化球を織り交ぜ、延長10回まで2失点で切り抜けた
全国各地で大学野球が花盛りである。東京六大学リーグでは慶大の2年生左腕・竹内大助が、慶大の開幕戦となった東大戦でアッと驚くノーヒットノーランを成し遂げ、プロ経験者の江藤省三新監督を男泣きさせた。
しかし、今回取り上げるのは竹内ではない。大学球界を代表する強豪リーグ、東京六大学、東都大学の剛腕2人、大石達也(早大)と澤村拓一(中大)である。
“二刀流”もいける潜在能力抜群の大石。
大石は開幕前、センターとしてスタメン出場し、ゲーム終盤にはセンターの守備位置からマウンドに上がる“二刀流”の起用が取り沙汰された。結果的には従来通り、抑え投手としてゲーム終盤に登板したのだが、應武篤良監督はセンターとしての起用案を「一番力のある選手がベンチを温めているのはおかしいですから」と表現している。それほど野球選手としての潜在能力には高いものがある。
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本業のピッチングに目を転じれば、立大との開幕カードにリリーフとして連投し、いずれも勝ち星がついている。リリーフ投手であったことと、同学年に斎藤佑樹というエースがいたため3年まで6勝3敗に甘んじた大石にとって、この連勝は大いに弾みがつく
リリーフ不足に悩むプロ球団はドラフトを心待ちに!?
球速は4月10日の1回戦が154キロ、2回戦が152キロとコンスタントに150km台をマークしている。スピードガン表示は高いが三振が取れない、空振りが取れない投手は多くいる。しかし、大石のストレートはわかっていても空振りをしてしまう。このストレートに縦・横2種類のスライダーと球速の遅いフォークボールがあり、さらに140km程度で小さく落ちるツーシームらしき球も備え、変化球も万全。
現在、プロ野球はほとんどの球団がリリーフ投手不足で、巨人は山口鉄也、横浜は山口俊がシーズン当初の先発構想から、現在はリリーフ起用に転じている。2球団だけではない。日本ハム・武田久、楽天・モリーヨと福盛和男は予想を覆す絶不調で、それがチーム成績に深刻なダメージを与えている。このリリーフ投手不足は、プロ入りを目指す大石には追い風となるはずだ。