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<復活への決意を語る> 上田桃子 「強さと優しさを武器に」 

text by

雨宮圭吾

雨宮圭吾Keigo Amemiya

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photograph byAkiko Kato

posted2012/03/08 06:00

<復活への決意を語る> 上田桃子 「強さと優しさを武器に」<Number Web> photograph by Akiko Kato

「強さの中に優しさがないと本当の一番にはなれない」

――キャディーが毎年替わりコーチも替わって、こちらからも迷っているように見えました。自分でももどかしさは感じてましたか。

「探してるものがどこに入ってるのか分からないから、一つずつ引き出しを開けていって、ここじゃない、ここでもない、という感じだったんです。それが今回ようやく中身が入ってる引き出しが見つかりました。この引き出しを開ければこれが入ってるんだと気づくことができたので、これから先ブレるっていうのはあまりないかなと思いますね」

――探しものが見つかるまでに4年。思っていたより時間がかかったでしょう。

「かかりました。でもおかげで痛みを知れました。強いだけじゃダメで、強さの中に優しさがないと本当の一番にはなれない。経験は何事も無駄にならないと言うじゃないですか。本当にそう感じます。でも4年も味わわなくてもよかったなあとは思いますけど(笑)」

――優しさというのは?

「調子がよかった時にどういう言葉を発してたのか気になって以前の雑誌やテレビを見返したんです。当時は本当に自分に自信があったんですね。だって、話してる言葉にトゲしかないんですもん(笑)。ただ、自信があり過ぎて周りのことはあまり考えられていない。集中し過ぎちゃってて線が細いんです。だから昔の自分に対しては『あなた、もっともっと成長しなきゃいけないんじゃないの?』って言ってあげたかったです。5年前の自分も好きでしたけど、今の方が色々なことを色々な角度から見られるし、ゴルフを通じてすごく成長させてもらってる。結果は前の方が出ていても、私は今の自分の方が好きです」

――成績が出ないと、笑顔がない、ふてくされる、とか雑音も聞こえてきたはずです。

「いやあ、傷つきますよね、私も人間ですから。だって笑ってるんですよ。ずっと一緒に回ってるキャディーさんとかはそうじゃないと分かってくれるんですけど、笑ってる場面は取り上げられないんですから。でも確かにもう少し気持ちの余裕があれば、そういう風に見られなかったかもしれないです」

――優勝した昨年のミズノクラシックではよく笑っていたように見えましたけど。

「ニコニコしてたねってすごくたくさんの人に言われたんですよ。あの時よかったよって。でも『笑おう』なんて話はキャディーさんと一度もしなかったし、楽しかったから自然と笑顔が出てきただけです。どちらかといえば、今までの方が笑う努力をしてたんですよ。すごく不思議だなって思いました。アプローチの仕方を変えるだけで周りの受け止め方も全然違ってくる。だからもっと余裕を持ってゴルフを楽しみたいですね。無理にニコニコするのは自分らしくないので、自然とニコニコできるような生活を送りたいです」

【次ページ】 自らに課した日本ツアー完全復帰への条件。

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