野次馬ライトスタンドBACK NUMBER
東京・国分寺「もつ鍋わたり」による、
2011年のプロ野球と「モバ浜」総括。
text by
村瀬秀信Hidenobu Murase
photograph byKYODO
posted2011/12/27 10:30
横浜DeNAベイスターズの初代監督に就任した中畑清氏。左は球界最年少となる35歳での球団社長就任となった“ハマっ子”池田純氏。右は高田繁GM
中日の投手陣をシメる谷繁の影響力は絶大。
――マグロタイプってのがピッチャーにはあるんですか。
「モバ浜で獲れるマグロは“何をされても無抵抗”って意味の奴が多いけどな。それよりよ、中日は遠投をめちゃくちゃやるらしいんだけど、浅尾と吉見のソレは金が取れるぐらい凄まじいんだってよ。クルーンみてぇなキャッチャーミットで止まる速いボールなんて大したことねぇ。本当にすげぇ球ってのは18.44mの、その先なんだよな。あの2人の球の質が他と違うのも遠投に現れてんじゃねぇの。見てみたいもんだな」
――中日はその投手陣を率いる谷繁捕手がケガから復帰後に順位を大きく上げましたね。
「やっぱり谷繁さんなんだよな。ひとりだけ違う世界が見えてるだろ。リードはすげぇし、試合も読める。ピッチャーのコンディションまでわかっちまう、オマケに怖いときたら投手陣に与える影響力は段違いだって。試合中に『頭が微妙に突っ込んでるぞ、ステップを半歩縮めてみろ』とかマウンドで平気で言うからな」
「練習中にセンターに来い」と谷繁に呼び出されて……。
「俺が現役の頃、谷繁さんが中日に移籍した1年目だな。ドームのベンチ裏でバッタリ出くわした時に『わたり、練習中にセンターに来い』って呼び出されてよ。『移籍してんのにまだシメられんのかよ』って震えながら待ってたら、谷繁さんがレフトのポール際に来て『オイ、足上げた時に顎が上がってんぞ。オマエがよくなっても打てるけどな。ファアーハハハハ』って、フェンス沿いに地響きするような声が聞こえてくるのよ……。まぁ、ねちっこく研究するから、いろんなことがよく見えるんだろうな。シリーズのソフトバンクもCSの(相川)亮二も、谷繁さんを意識した発言が多かったけど、後ろを意識させた時点で勝ちみてぇなもん。結局ネチネチネチネチと中日のペースに引き摺り込んじまった。恐ろしいだろ、アレは」
命がけで投げ勝った投手に“バカボン”はねぇだろ!
――その相川捕手のヤクルトは前半戦首位を独走するも最後に失速してしまいました。
「ボロボロになっちまったな。亮二も熱い奴で、最後ブチギレてガンガン言ってたけど気持ちはわかるよ。由規は肝心なところでケガしちまうし、増渕はあの世代でナンバーワンだと思ったのに情けねぇ、ガッツが足りねぇよ。七條は勝った次の日の新聞に“バカボン”だからな。命がけで投げて勝ってんのにバカって……そりゃねぇだろ。守護神の林昌勇も最後の方わけわかんなくなって気持ちオーバースローになっちまうし、最後は結局館山頼みで……そりゃ血行障害にもなるって。来年は青木もいねぇし、マークが畠山1人に集中することを考えると、こりゃ相当厳しくなるだろうな」