「サンショーならではの“味”が出ていた場面だったなと思います」
オリンピック2大会連続の入賞となる8位でフィニッシュしたパリ五輪決勝。あの順位変動が激しく、ペースの上げ下げ、選手間の駆け引きもあったレースを、三浦は「味」という言葉で振り返った。
「(味というのは)中距離の走力、障害を越えていくテクニックや身体の使い方、ある程度の選手同士のコンタクトもありますし、レース展開の先をいかに読むかという判断もある。(状況に対する)思い切り、判断、そういったものが一瞬の中に詰まっているんです。サンショーでは判断の一瞬の迷いが、後半に影響してきますから」
パリ五輪決勝のレースでは、その「判断」に少しだけ悔いが残っているという。
「2000mで集団になった後に、先頭を狙うような動きがあったと思うんですけど、その時に本来であれば集団の後方ではなく、中盤にいたかった。そうすればアクションが起きた瞬間に反応できたり、差しにいくということもできたと思うので…。逆に言えば、僕がしたかったレース展開を、あのアメリカの選手(ケネス・ルックス。銀メダル)がしていたと思います」
メダル圏との差、7分台への道筋は見えているのか。
世界最高峰のレースを冷静に、解像度高く振り返る三浦。気になるのは今後のビジョンだ。
国内にはほぼライバルがない状況で、レースでは「いかに勝つか」が焦点になっている。今春、順天堂大学を卒業後、SUBARUに所属しているが、練習拠点は変わらず順大のグラウンドやその周辺。またポイント練習を中心としたメニューを考えているのは、同大の長門俊介監督だという。
なぜ変化を選ばなかったのか。そこに成長の余地を見出しているのか。じっくり話を聞いた。
そのほか今回のインタビューでは以下のようなことも聞いている。
- パリ五輪後、つかの間のオフで旅行した先は?
- ニューイヤー駅伝を年間練習計画にどう組み込むか
- 順天堂大の後輩と一緒に練習する可能性
- ダイヤモンドリーグファイナルに出場しなかった理由
- 東京五輪とパリ五輪で着用スパイクをなぜ変えたか
インタビューを通じて感じたのは、来年の東京世界陸上、そして2028年のロス五輪を見据え、自分自身のサンショーランナーとしての伸びしろを信じていること。この種目のパイオニアとして三浦龍司の進化からまだまだ目が離せない。
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