箱根駅伝の常連校として、数々の名勝負を繰り広げてきた名門・順天堂大学。箱根駅伝では前々回に準優勝、前回は5位と上位争いを繰り広げ、エースの三浦龍司選手が東京五輪、世界陸上などで入賞をするなどチームとして上昇気流に乗っていました。
しかし2023年度は波に乗り切れない印象で、出雲駅伝は10位、全日本大学駅伝は11位、箱根駅伝でも17位と、いずれも入賞・シード権を逃してしまいました。チームを率いる長門俊介駅伝監督は、この成績をどう捉え、振り返り、そして新しいシーズンに入っているのか。そして今春卒業した三浦選手の4年間の成長をどう感じたのか。じっくりとお話をうかがいました。
昨季低迷の理由について、長門監督はこう振り返ります。
「チームとして、組織として未成熟なまま箱根駅伝を迎えてしまいました。『小さなこと』がほころびとなって、すべてが悪い方向にいってしまいました。駅伝シーズンに入ってからも苦戦して、(試合に向かっていく雰囲気が)盛り上がっていかなかった」
「小さなこと」についてはインタビュー内で色々とお話いただきましたが、そのひとつは、長年チームを見ていたコーチが2名退任したことで「指導者の目が行き届かなくなっていたこと」と率直に明かしてくれました。それを補うため、今シーズンから長門監督の同級生でもある山の神・今井正人さん(トヨタ自動車九州)がコーチ、田中秀幸さん(トヨタ自動車)がプレイングコーチに就任。2人へのコーチの打診はそれぞれの所属チームを通じて昨年5〜6月ごろには開始していたといいます。
「夏前には2人が来てくれることが決まっていたので、本音を言えば、1シーズンをしっかり乗り越えられれば、という気持ちでした」
新体制になり、今井コーチはまず選手に「走るための心」を伝えており、今年のニューイヤー駅伝5区で区間賞を獲得するなどバリバリの現役ランナーである田中コーチは、選手と練習をともにし、走りながら学生に積極的に声かけをしているとのこと。
そして4年間陸上界を常にリードし、今春卒業した三浦龍司選手(SUBARU)についてもじっくりお話を伺いました。大学1年目の7月のホクレン千歳大会の3000m障害でいきなり8分19秒37の日本歴代2位(当時)のタイムをマーク。新型コロナウイルスによる大会の制限もあり、じっくりと練習を積むことができたこの年が「ターニングポイント」だったと振り返ります。
「箱根駅伝予選会、箱根駅伝本戦に向けて今までにない練習ボリュームをこなしたことで、彼の『土台』が引き上げられたのが横でみていてわかりました」
その後、2021年には3000m障害で日本記録を更新、東京オリンピックに出場してこの種目で日本人初の入賞、2022年、2023年も世界陸上、ダイヤモンドリーグで入賞をしています。東洋大・酒井俊幸監督も「本当にすごいこと。三浦選手も、長門監督の手腕ももっともっと評価されていい」と称賛しています。
ただし、三浦選手が世界レベルで活躍をすることで、「3000m障害と駅伝を両立させるべきなのか」といった意見も聞くるようになりました。それについて長門監督にぶつけてみると……「なるほど」という納得できる答えが返ってきました。
動画ではほかにも
●今後、三浦龍司とどうトレーニングしていくか
●長門監督が指導者として「自分の色」を出さない理由は?
●即戦力として期待できるルーキーは?「川原琉人と、あと…」
●スカウティングのポイント
●吉岡大翔、ルーキーイヤーの取り組みを振り返って
●長門監督の「意外過ぎる」息抜き方法は?
などなど、たっぷりとお話していただきました。
特に息抜きのお話を伺った時の長門監督は、普段と少し違う表情も見せてくださいました。約1時間のインタビューをお楽しみください。
◆概要
出演: 順天堂大学 長門俊介監督
MC : 涌井健策、藤井みさ(NumberPREMIER)
収録日:2024年4月23日
※視聴するには、「NumberPREMIER」の会員になる必要があります。配信画面はこの下に表示されます。
◆出演者プロフィール
長門俊介Shunsuke Nagato
1984年生まれ、長崎県出身。順天堂大学では4年連続箱根駅伝9区を走り、4年時には区間賞を獲得しチームの優勝に貢献。卒業後は実業団・JR東日本で競技を継続したのち、2011年に順天堂大学の駅伝コーチに就任。16年より同部駅伝監督を務める。
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