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《インタビュー連載》池江璃花子、3度目の五輪内定を支えた豪州人コーチへの信頼「人ってこんなに変われるんだ」

2024/05/03
池江璃花子のインタビュー連載「パリに向かって」。7月に連載をまとめた書籍が刊行予定
パリ五輪出場をかけた代表選考会。昨年までは難しいと思っていた100mバタフライで見事切符を手にすることができた。オーストラリアでのトレーニングで彼女は何を得たのだろうか。

 3月のパリ五輪代表選考会で、3度目の五輪の切符を掴むことができました。

 パリは個人種目で、1バタ(100mバタフライ)で行くことしか考えていませんでした。でも昨シーズンまで50mの練習しかしてきていなくて、100mの練習をするためにオーストラリアに行きました。選考会で200m自由形にエントリーしていたら、4×200mリレーのリレーメンバーに絶対に入れる自信はあったけど、リレーだけでパリに行くつもりは一切なかった。それはコーチのマイケル(・ボール)との共通認識でした。

 1バタで派遣標準記録を突破できるようになるために、今までの競泳人生で一番って言い切れるくらいたくさんバタフライを泳いできました。日本にいたら、「できない」と思うことがいっぱいあって、しんどい時につい自分に甘えが出てしまっていたんです。でも今のチームではどれだけきつくても、シュノーケルとかフィンなど、自分を少しでも手助けしようとするアイテムは「絶対にダメ」って言われてつけられないし、みんな同じようにやっているから自分も頑張らなきゃいけない。すごくいい影響を受けています。

3月に行われた代表選考会、100mバタフライ決勝で57秒30の2位となり、パリ五輪出場権を得た。リオ、東京に続き3大会連続出場となる
3月に行われた代表選考会、100mバタフライ決勝で57秒30の2位となり、パリ五輪出場権を得た。リオ、東京に続き3大会連続出場となる

コーチから言われ続けた「自分を信じろ」。

 マイケルのことを、ずっと信じてきました。日本にいたら速くなれない、彼のところでしかもう私は速くなれないと思って、一人でオーストラリアに行く覚悟を決めたんです。

 オーストラリアには、'18年と'19年の冬の2回合宿に行かせてもらいました。最初に行った時、すごく練習が楽しかったんです。自分が速かったから。めちゃくちゃ飛び抜けて速い男子選手がいなかったというのもあるんですが、私が男子選手と同じくらい速くてすぐ追いついちゃうから、「もうリカコ、先頭行って」って言われるくらい。練習メニューもよく分からないのに先頭を泳がされて。(東京五輪4冠の)エマ(・マキーオン)の隣で泳いでいつも勝っていて、それが自信になり、速くなれると思いながらトレーニングしていて、すべてが楽しかった。生活も、日本みたいに街を歩いていたら声をかけられるようなこともなく、堂々と落ち着いていられました。

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photograph by Asami Enomoto

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