WBCでの連覇、2大会連続でのMVPを獲得してメジャー3年目に臨んだ松坂大輔は、2009年のシーズン、2度にわたるDL(故障者リスト)入りを余儀なくされ、約4カ月も戦列を離れた。メジャーでの2年間で33勝を挙げた松坂は、3年目を4勝(6敗)で終えることとなる。
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股関節の痛みもあって第2回のWBCには出場するかどうか悩みましたが、やっぱり僕には出ないという選択肢はありませんでした。出ると決めて3試合に投げて(3勝)連覇を果たし、スプリングトレーニングも終盤に差し掛かったチームに戻りました。WBCの前にはちょっと無理をして乗り切ればシーズンは何とかなると思っていたんですが、優勝してホッとしたからか、レッドソックスでの3年目が始まる前、無理をした反動が来てしまいました。最後のオープン戦で(ブレーブスの川上)憲伸さんと投げ合ったんですが(5回を2安打2失点、自責点は1)、あの試合、まったく身体が動かなかったんです。ちゃんと投げられる感じがしませんでした。5回2失点……そんなふうに試合をまとめられた記憶はありません。それくらい、身体に対しての不安が大きかったんですよね。
しのげてしまい「何とかできるだろう」と思ってしまう。
僕の場合はそういう状態のときでも幸か不幸か、中途半端に結果が残ってしまうから、ちゃんと治さなきゃ、という判断に至らないんです。変な話、そこでボッコボコにされていたらあきらめがついたかもしれませんが、しのげちゃうから何とかできるだろうと思ってしまいます。股関節はいろんなところをかばって投げているうちに強い痛みが出ていました。もともとの原因は肩だったかもしれないし、ヒジだったかもしれない、腰だったかもしれない。股関節を痛めたのがWBCのときだったというわけでもなく、痛みはメジャー1年目からずっとあって、僕の中ではそのたびに治しながらやってきたつもりでした。ただ、治しながらトレーニングもしなきゃならないし、完全に治ってからトレーニングする形を取らなかったのが2年間、積み重なっていたというのはあったでしょうね。
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