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オーストラリアに拠点を移した池江璃花子。メンタルも安定して、体も変わり「自信が戻ってきた」。覚悟を持って五輪選考に臨む

2024/02/28
池江璃花子のインタビュー連載「パリに向かって」
オーストラリアに渡って4カ月――。彼女は今、「強くなりたい」一心で、孤独を選び自分と闘っている。日焼けし、一回り大きくなった体で、「自信が戻ってきた」と言った。選考会まで残り1カ月。

 オーストラリアに拠点を移してから、4カ月が経ちました。その間日本に帰ったのは年末年始の数日間だけ。みんなは合宿に来ていると思っているみたいですが、私自身は今は完全にここが拠点だと思っています。日本にいた時とはモチベーションがかなり違う状態でトレーニングできている。だいぶ自信が戻ってきました。

 去年ここに来る前は、本当にメンタル面で落ちるところまで落ちていました。インタビューで自分の話をする度に泣きそうになったり。話せば話すほど、自分の嫌なところが目に見えるような状況でした。

 最初に来た時、まずコーチに自分のメンタルの状態が整っていないことと、昔のように強い気持ちでトレーニングができないことを伝えました。それから度々練習の時に話をしたり、ミーティングの場で、自分の状況を伝えることによって、すごくいいメンタルトレーナーにもなってくれています。私にはとても合っていて、コーチに何秒で泳げるって言われたら、本当にそのタイムで泳げるような気がします。

競泳の“競う”ことを楽しめるようになった、メンタル面での変化。

 日本にいると、自分の限界を決めつけて、この程度でいいやと思ってしまい、そこまで追い込めませんでした。自分の可能性の幅を広げられていなかったんです。

日本からオーストラリアに向かう空港で 本人提供
日本からオーストラリアに向かう空港で 本人提供

 今はメンタル面が以前と全然違いますね。もちろん今も完璧な状況ではないし、そこまで完全な自信があるわけじゃない。ただすごく競泳という、“競う”ことに関しての楽しみを取り戻しつつあります。自分よりレベルが高い人たちばかりの中で練習しているのですが、あまりにも周りが速すぎて、強すぎて、ただ彼女たちに追いつこうと努力しています。自分よりちょっと速い人がいると、張り合いが出るんです。

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photograph by Asami Enomoto

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