#1079
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「僕は気持ちが入ってなんぼ」“本番に強い男”馬場雄大がW杯で越えるべき「壁」とは?<異色の経歴:筑波大中退→Bリーグ→NBA→豪州>

“本番に強い男”が、大舞台を目前にして苦しんでいた――。若手の台頭を受け、結果を求めすぎてプレーの歯車が狂い始めた。それでも8月15日、1本のフリースローが大事なことを思い出させた。

「全然ダメです」

 ワールドカップ開幕を目前に、日本代表の主力選手の1人として期待される馬場雄大は苦しんでいた。

 8月15日に行われたアンゴラ代表との強化試合後、彼は「全然納得いくものではないです。僕の力っていうのは、もっと必要になってくると思うのでこれから上げていけるように準備します」と、7月から行われていた数々の強化試合を通しての出来について振り返った。

 6月に代表活動が再開されてから、馬場はトム・ホーバス日本代表ヘッドコーチと多くの時間を共に費やし、彼のバスケットボールスタイルへの理解度を日々深めていたはずだった。しかし、W杯へ向けた強化試合初戦となったチャイニーズ・タイペイ戦でこそ18得点を挙げ、良い滑り出しを見せたものの、その後は活躍のアップダウンが激しく、いつもなら見せないような精彩を欠くプレーが度々見られていた。

 馬場はこれまで高校、大学、Bリーグ、海外挑戦と自身がプレーするステージを上げていきながら、そのプレースタイルも常に進化させてきた選手だ。富山第一高校では高い身体能力を武器に、スピードと跳躍力を使った爆発力溢れるプレーでチームを全国大会へと導き、アンダー世代の日本代表でも活躍した。筑波大学時代にはそれまでドライブが主体だったところから徐々にプレーエリアを広げていき、入学時からチームの中心選手となり、全日本大学バスケットボール選手権3連覇を達成した。

 大学4年生時にはBリーグ入りすることを決断し、筑波大バスケ部を退部した上で強豪のアルバルク東京に入団した。緻密なプレーを要求することでも知られるルカ・パヴィチェヴィッチHCの下、彼の哲学を吸収しながら1年目から見事な活躍でチームの優勝に貢献し、最優秀新人賞にも輝いた。連覇を達成したプロ2年目では、シックスマンとして試合の流れを一気に変える役割を担い、決勝戦ではスタメン起用で素晴らしい活躍を見せ、チャンピオンシップMVPを獲得している。

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photograph by Kiichi Matsumoto

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