博多の人・王貞治BACK NUMBER
「もし優勝できなければ、パ・リーグは終わりだった」1999年王貞治ダイエーがつかんだ“ラストチャンス”の意味「もう1リーグ制やろな、と」
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喜瀬雅則Masanori Kise
photograph byKYODO
posted2026/08/07 06:02
ダイエー11年目にしてついに初優勝。だがもしも王がこのチャンスをつかんでいなければ……
優勝できなかったら、パ・リーグは終わりだった?
その“運命の5年目”に、王を支えた尾花高夫が、こんな“球界裏事情”を披露してくれた。
「当時は、1リーグ制がまことしやかに囁かれていたんや。それを主導していたのが、西武の堤(義明)オーナーと、巨人の渡辺恒雄オーナー。この人たちが本気になったら、間違いなく1リーグ制やろな、というのがあったからな」
球界の深部から、漏れ伝わって来たその噂は、2004年に「球界再編騒動」という形で球界を揺るがすことになる。その“前触れ”のような、真偽不明ながら、野球界に長く身を置く尾花にも聞こえてきた構想は、自らが仕える「王貞治」の去就とリンクしていた。
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つまり、王がダイエーからいなくなれば、パ・リーグは——。
「終わりや。その危機感があった。サッカー人気も出だして、抜かれるんじゃないかとか言われていたしな。絶対、優勝せなアカンっていう、自分の中でも変な使命感みたいなのがあったんだよ。優勝できていなかったら、王さんも『現役はすごかったけど』って終わっているし、今のホークスだってない」
すごい仕事をしたね
その“背景”を踏まえれば、根本の、そして尾花の抱いた危機感は理解できる。
すごい仕事、しましたね——。
そう聞いてみたら、尾花は「したね、した、した」と満足そうに笑った。
「ホントにありがたかったよ。でも、俺も必死やったもんな」
そして王ダイエーは、初の日本シリーズへと駒を進めた。
相手は、星野仙一率いる中日ドラゴンズ。前年までヤクルトにいた尾花にとっては、その手の内を熟知するかつてのライバルだ。
再び、尾花の“洞察力”がモノを言うことになる。
〈つづく〉

