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WBCベネズエラ監督が弱点を指摘「日本はデータ分析を使っていない場面がある」井端ジャパンの継投策は「時代遅れ」か…「右打者3人に左の隅田、なぜ起きた?」
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生島淳Jun Ikushima
photograph byNanae Suzuki
posted2026/03/20 17:00
日本を破ったベネズエラ。その勢いのまま初優勝を果たした
すでに各方面で指摘されているが、松井裕樹(パドレス)、平良海馬(西武)、石井大智(阪神)が離脱したことで算段が狂ってしまった。
準々決勝で登板したリリーフ専門の投手は藤平尚真(楽天)だけで、松本裕樹(ソフトバンク)は体調不良が伝えられ、大勢(巨人)に至っては3点差を追う9回もマウンドに上がることはなく、なぜか菊池雄星(エンゼルス)がマウンドに上がった。
両軍の投手編成を見る限り、そもそも発想が違うのが分かる。投手編成のアイデア、構想力が違うのだ。
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ベネズエラは先発を絞り、メジャーリーグで投げているリリーバーを中心に投手陣を組み、それによって優勝を引き寄せた。
対する日本は、これまでも、今回も「先発投手至上主義」を貫いてきた。
じつは3年前も「先発投手至上主義」だった
実は、日本が優勝した2023年、栗山英樹監督の投手マネージメントも今回と大きく変わりはない。
基本、ふだんはチームでエースを張っている投手を集め、そのなかでも選りすぐりのエリートを先発で起用し、他の投手たちはブルペンに回すデザインである。
前回の準々決勝以降の投手起用を見ると、先発はイタリア戦が大谷翔平(エンゼルス、以下当時のチーム)、メキシコ戦が佐々木朗希(ロッテ)、そして決勝のアメリカ戦は今永昇太(DeNA)をマウンドに送った。振り返ってみて驚いたのは、いまや「世界の山本由伸」がメキシコ戦の2番手だったことだ。第2先発の扱いだったのだ。
山本だけではない。伊藤大海(日本ハム)、高橋宏斗(中日)、戸郷翔征(巨人)らもブルペンに回り、チームを支えた。リリーフ専門は湯浅京己(阪神)と大勢だけである。
最高の駒を揃え、配置転換して役割を与える。このマネージメントで日本は頂点を制してきた。第2回大会ではダルビッシュ有が試合を締め、前回は大谷がクローザーを務めたのは、甲子園に代表される負けたら終わりのノックアウト式で鍛えられてきた日本野球の強さである。
つまり、侍ジャパンは歴史的にも「先発投手至上主義」で成功を収めており、今回もそれを踏襲したに過ぎない。
しかし、今回のベネズエラはリリーフ専門職をうまく使い、頂点を制した。日本が本来は先発を務めている隅田知一郎(西武)、伊藤でホームランを許したのとは対照的だった。
次回以降、新しい監督はブルペンの編成について、新しい構想力を持ち、各球団との連携を図らなければならない。
「日本はアナリティクスを使っていない場面がある」
そして今回、ショックだったのはアナリティクス、分析的手法でも日本が敗れてしまったことだ。
日本に勝利したベネズエラのロペス監督は試合前の分析において、「日本チームの救援陣を、監督がどうマネージメントしているのか分析していた」とその特徴を話していた。

