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「そういえば現役ドラフトの日だ」阪神→ロッテ移籍の井上広大が振り返る“運命の1日”「岡田彰布監督と“ハイタッチ未遂”…あれは心残りです」
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梶原紀章(千葉ロッテ広報)Noriaki Kajiwara
photograph bySANKEI SHIMBUN
posted2026/01/25 11:00
現役ドラフトで移籍したロッテの入団会見で力強く拳を突き上げる井上広大
「小学校から中学校、高校。今までの出会った人たちから連絡があった。こんなに応援してくれているのかと思った。この人たちのために、これから頑張りたい。初心に戻れた気がした」
タイガース関係者、チームメートからもたくさん連絡があった。球団から移籍を告げられ、尼崎の二軍施設で荷物整理をしていると大先輩の大山悠輔内野手からもメッセージが届いた。寡黙な印象がある大山だが、同じ右打者として憧れていた井上はよくアドバイスをもらっていた。
「報道を見て、すぐに連絡をくれた。野球のことをよく教えてくれた。バットの話をよくした。ボクのバットを試しに使ってくれたりもした。結構、話をしました。ありがたかった」
初アーチにベンチの岡田彰布監督が…
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荷物を車に詰め、二軍施設を後にすると沢山の思い出が頭を駆け巡った。プロ1年目での初ヒット。その後、なかなか結果が続かなかった日々。悔しかった思い出も多かったがそれでも、楽しかったことや嬉しかったことが宝物のように心に残っている。
一番の思い出は、5年目のプロ初本塁打だ。2024年8月28日、忘れもしない横浜スタジアムでのベイスターズ戦。蒸し暑い夜だった。1点ビハインドの6回1死、ベイスターズの先発・東克樹が投じたストレートをフルスイングすると、打球はあっという間に虎党で埋まるレフトスタンドに消えていった。プロ入りから通算82打席目で飛び出した初アーチだった。
「ポール際でした。歓声がすごくてお祭りのようでした。理想の打撃というか自分でもビックリするような強烈な弾丸でスタンド中段まで突き刺さった。驚いた。チームメートも驚いてくれて」
忘れられないのはベンチでの岡田彰布監督とのやりとりだ。「祝福のハイタッチをちゃんと出来なかった」。ベンチに戻る直前、指揮官は後ろにいたコーチから「監督、プロ初本塁打ですよ」と声を掛けられ、声の主の方を振り向いていた。井上はちょうど、その前をハイタッチしながら通り過ぎてしまった。

