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[ラッキーボーイの回想]2006 Italy カルチョの威信を懸けた特別な一体感
posted2026/01/24 09:01
text by

弓削高志Takashi Yuge
photograph by
Kaoru Watanabe / JMPA
2006年7月10日の朝のことは一生忘れないだろう。前日の夜、ベルリンで行われたドイツW杯決勝でイタリアがフランスをPK戦の末に破り、4度目の世界制覇を成し遂げた。その翌朝のことだ。
「ブオンジョルノ(おはようございます)! カンピオーネ・デル・モンド(世界チャンピオン)!」
国営放送RAIの朝のニュースに異変が起きた。普段は厳格な男性キャスターが番組冒頭の挨拶で突如世界一を叫ぶと、傍らの女性アナウンサーと気象予報官も普段のいかめしい顔をかなぐり捨て「世界チャンピオン!」と続いた。慌てて外出してみると、馴染みの新聞スタンドやバール、職場や学校でも同じように言い交わしている。見知った顔もそうでない他人同士も、国中の老若男女が「俺たち、私たちが世界チャンピオン!」と口にし、全身から多幸感を発散していた。その朝、イタリアは世界一幸せな国だった。
アッズーリ(イタリア代表の愛称)による'06年の優勝は、逆境に次ぐ逆境の中でつかんだものだ。大会直前の5月、国内リーグにおける審判の操作などを中心とした不正事件「カルチョーポリ」が発覚。震源地であるユベントスやクラブ役員、審判や関係者に検察の捜査が入り、国内サッカー界に激震が走った。ユーベ組を主軸に置く代表チームにも批判は及び、アンチ・ユーベ派の有識者を中心に「W杯を辞退しろ!」という非難すら上がっていた。
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