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<'06年W杯王者の証言> ファビオ・カンナバーロ 「僕らには守備の美学が備わっていた」 

text by

豊福晋

豊福晋Shin Toyofuku

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2014/05/27 11:00

<'06年W杯王者の証言> ファビオ・カンナバーロ 「僕らには守備の美学が備わっていた」<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama
ドイツで世界の頂点に立った稀代のセンターバックが
「大切すぎる思い出」と言う記憶を振り返ってくれた。
己が体現した守備の伝統、そして現代表への思いとは。

 待ち合わせはドバイのとあるホテルだった。

 巨大な石柱の間をくぐり抜けると、分厚いペルシャ絨毯が敷かれた大広間に出た。太陽神が彫られた大理石の壁は高く、天井には金細工のランプがかかっている。

 ファビオ・カンナバーロは金色のソファの前に立っていた。7月の太陽みたいな笑顔は、現役時代のままだ。

 3年前にアル・アハリで現役引退した彼は、今もこの町に住み続けている。現在は同クラブで監督修行中だ。

「ちょうど昨日、マテラッツィとガットゥーゾと会っててね。2006年、ドイツで戦った仲間だ。やつらと一緒にいると、いつもあの夏のことを思い出す。僕らにとって一生忘れられない思い出なんだ」

 ドイツ大会前、イタリアは優勝候補ではなかった。誰もがロナウジーニョとカカがいたブラジルや、ジダンとアンリのフランス、そして開催国のドイツがカップを掲げるだろうと予想していた。イタリアは4、5番手の存在でしかなかったのだ。

 なぜイタリアはワールドカップで優勝することができたのか。そして、彼は8年後の代表をどう見ているのか――。

 柔らかなソファに腰掛け、カンナバーロは静かに語り始めた。

 マテラッツィとドイツ大会の話をする度に、いつもたどり着く結論があると彼は言う。

「Organizzazione difensiva(守備組織)がどれだけ完成されているか。ワールドカップで一番の鍵を握るのはそこなんだ。前線からの守備。中盤で相手選手へのフィルターはかかっているか。最終ラインの選手はしっかりと1対1の勝負で勝っているか。これらが高いレベルで機能して、初めて完成度の高い守備組織になる。2006年、リッピが率いたイタリアにはそれがあった。勝因はひとつだけじゃないけど、最も大事なのはそこだった」

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