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甲子園の風BACK NUMBER
2度のドラフト指名漏れも「もう1年、夢が見られる」元近江高・有馬諒…社会人名門で切り拓く道「チームを勝たせる捕手に」〈甲子園の主役の現在地〉
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佐藤春佳Haruka Sato
photograph byNumberWeb
posted2025/12/30 11:10
社会人3年目となる新シーズンに飛躍を期すENEOS・有馬
「四球でも内野ゴロでも、フライでも点が入ってしまうような絶体絶命の場面でした。それでも、絶対に1点も許さないという思いで三振、三振、外野フライと狙ってアウトが取れた。もちろん、金丸の実力ありきですけど、あの場面を切り抜けられたことは、キャッチャーとして一つ、いい経験になりました。自分のベストゲームだったと思います」
「祈るような思いで」迎えたドラフト
それから1か月後の10月26日、プロ志望届を提出して迎えたドラフト会議。当日は、関大の控え室でマネージャーと監督とともに指名を待った。
「決して楽観的には考えていなかったですが、プロで勝負したいという思いは強かったです。ただ、調査書があまり届いていなかったこともあって、とにかく指名が来たところで勝負しようと思っていました。声がかかるようにと、ひたすら祈るような思いでした」
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部員でプロ志望届を出していたのは1人だけ。別室には、指名された時に備えて取材陣が待機していた。武内夏暉(西武ドラフト1位)、西舘勇陽(巨人ドラフト1位)ら、大学生の即戦力投手を中心に上位指名が続く。ウェーバー方式の2巡目以降も見守ったが、1時間、2時間近く経過しても指名の声はかからなかった。
「長かったですね。長いな、なかなか呼ばれないな、と。そうやってドキドキする感覚ってなかなかないので貴重な経験だったとは思うんですけど……」
ドラフト指名漏れ…その時仲間たちが
選択終了とともにその場が解散になると、近くで見守っていた仲間たちから次々に声をかけられた。
「同期にダメだった、という話をした時に、まあまた頑張ろうっていう声をかけてくれました。励ましてくれた仲間がいたってことに救われましたね。すぐに気持ちを切り替えられたかというと、そういうわけではないです。でも、目の前に大学最後の大会の関西選手権があったのでそこに集中して……周りのサポートを受けながらうまく立ち直っていけたと思います」


