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「モリヤスは問題を理解していた」W杯組み合わせ決定直前…元日本代表監督トルシエが称えた森保采配とは「ただ…4バックの利点は見いだせない」
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田村修一Shuichi Tamura
photograph byKiichi Matsumoto
posted2025/12/21 11:02
森保一監督が試合途中に見せる修正力について、トルシエは高く評価する
「前半の日本の攻撃はブロックされ、硬直していた。センターバックの板倉滉と谷口彰悟は中盤にパスの出し手を見つけられず、両サイドバックの瀬古と菅原はDFラインにほぼ留まったまま。逆にサイドハーフの久保建英と前田大然は高い位置に張りすぎて、相手DFの厳しいマークを受けていた。
ボランチの遠藤航と鎌田大地も、ボリビアのMF3人からプレッシャーを受けた。マークを外しても相手DFを背負っている状態だった。これでは繋ぎ役としては難しかった。結果としてボールを上手く引き出すことができず、日本のプレーは極めて予測しやすくなり、ピッチのあらゆる場所で1対1の局面が生まれた。この戦いはあまり生産的とは言えなかった」
モリヤスは問題をよく理解していた
――個々の選手の動きはどうでしたか?
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「南野拓実はほとんど動かず、久保もサイドに留まったまま。小川航基はポスト役として不十分だった。ただひとり、前田だけが相手の守備網を引き裂く動きを見せていたが、全体としてはプレーが硬直し、モビリティ(動き)がほとんどなかった。自らが課した制約と戦っているように見えた。
私には、日本が自分自身との戦いに苦しんでいるように見えた。前半の組織は、日本の力になっているようには見えなかった。自らの組織が課す制約からどう逃れるかが、前半の日本が抱えたディレンマだった」
――ただ後半には改善されましたね。
「森保は前半の問題をよく理解していた。従来の3バックに戻し、菅原に代えて堂安律を投入した。前田を左のアウトサイドに、前線は久保、小川、南野の3人に戻した。これは日本のアイデンティティに基づいた組織だ。3人のCBは前半よりずっと安定し、前田と堂安の両サイドは活性化した。中盤の遠藤と鎌田も自由になり、攻守に積極的に動けるようになった。
このシステムだと、前線に5人が並ぶから相手守備も窮屈になる。ボリビアは中央に人数をかけざるを得ず、バランスを崩された。相手のラインを分断して、日本のシステム自体がより効果的に機能し始めた」
――選手交代も効果的でした。
「強調したいのは森保のコーチングだ」
――具体的に言うと?

