ヤクルト監督・広岡達朗の予言「阪急には7戦で勝つ」球史に残る日本シリーズのウラ側「絶対、外には漏らせない情報で…」阪急・山田久志が語る“異変”

広岡達朗の予言「阪急には7戦で勝つ」

　大事なシリーズ初戦を託されたのはペナントレース同様、安田猛だった。シーズン終盤の9月、大車輪の活躍を見せて優勝に貢献し、沢村賞にも輝いた松岡弘が振り返る。

「この時点でも、やっぱり僕には信頼がなかったんだと思います。シリーズ直前に“初戦は安田、2戦目は松岡”と告げられました。それ以降の先発は白紙。シリーズの展開に応じて変えていくつもりだったのか、内心では3戦目以降も決めていたけど発表しなかったのかはわからないですけど……」

　なぜ、初戦を安田に託し、松岡を第2戦に指名したのか、広岡の記憶は曖昧だ。当時の報道では、「安田の度胸のよさが買われた」と報じられている。しかし、この決断によって、松岡の闘志に火がついたことは紛れもない事実である。

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　シリーズ開幕直前の心境を尋ねると、若松、大矢と同様の答えが返ってきた。

「個人的には、“0勝4敗だけは避けよう、せめて1勝はしたい”というのが正直な思いだったな。でも、それは選手たちだけじゃなくて、首脳陣もそう考えていたようですよ。だってミーティングでも、“せめて一つは勝とう”と話していた記憶があるから」

　一方、ペナントレース同様、日本シリーズでも抑え役を任されることになった井原慎一朗は、広岡がシリーズ直前に口にした言葉を記憶している。

「広岡さんは予測というのか、計算というのか、常に先を見据えていました。この日本シリーズのときには、自信があったのかどうかはわからないけど、“阪急には7戦で勝つ”と言っていました。つまり、4勝3敗で勝つということです」

　一方のブレーブスの初戦先発は山田久志。シリーズ前の心境を本人が述懐する。

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