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野球の「次」はどこへ行く? 大学で“引退決断”…清宮幸太郎の弟・福太郎(22歳)が描く未来図「ラグビーW杯に心を揺さぶられて…」
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清水岳志Takeshi Shimizu
photograph byTakeshi Shimizu
posted2025/12/05 11:02
プロ野球で活躍する清宮幸太郎を兄に持ち、幼少期から将来を嘱望された弟・福太郎だが、大学での競技引退を決めた。果たして今後の未来図は…?
最終シーズンは…「つくづく優勝したかった」
最後の秋のシーズンは明治大学のまえに連敗。4連覇を逃した。
「3連覇は過去に何回もあって忘れられちゃうけど、4連覇は語り継がれるものだと監督がよく仰ってました。自分たちの代が語り継がれる代になろうと思っていました。優勝の可能性がなくなったときは4年間の大学野球生活が脳裏に駆け巡りました。連敗した直後のロッカールームでのミーティングで主務の北嶋(晴輝)が泣いていて、主務の涙は見慣れていないので、優勝したかったとつくづく思いました。
最後のシーズンは些細なことでもけっこう、こみ上げてくるものがありましたね。黒崎がヒットを打った時とか、松江(一輝)が法政戦でタイムリーを打った時も泣きそうで。石郷岡(大成)と田和は高校からずっと一緒にやってきて、2人の活躍を見ると自分も特別な気持ちがあった。田和はドラフトで指名されましたけど、自分の代のエースがプロに挑戦できる権利を得たのは、ほんとに誇らしく思っています」
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小宮山監督は《この代は7年間、監督をしてきて一番、仲の良かった代だと思う》とコメントしている。
本人にも改めて聞くと、即答だった。
「胸を張ってそう、言えますね」
福太郎にインタビューをして伝わってきたのは家族への感謝、チームメイトへの感謝だった。そしてそこには、近々訪れる彼らとの別れへの哀愁が込められているようにも感じられた。
野球部では、3年生以下のチームがすでにスタートしている。4年生は卒業を待つのみだ。同期の仲間との別れは、すぐに訪れる。
大学4年間の最後の打席。福太郎は感謝と惜別の思いを乗せて、ライト前にボールを運んだ。球場での夕暮れ、目を赤くはらして校歌を聞いている姿は、神宮への郷愁をまとっていた。

