甲子園の風BACK NUMBER
清宮幸太郎の弟・福太郎 “公式戦ホームラン1本”で終わった早実の3年間「自分たちがこんなに弱いとは」「プロは全然…大学しか」
posted2021/08/14 17:02
text by
清水岳志Takeshi Shimizu
photograph by
Sankei Shimbun
夏が戻ってきた。2年ぶりに甲子園で高校野球が行われている。
もちろん、その一方では、地方大会で高校野球を終えた選手もいる。中でも、筆者がもっともっと見たかったと思ったのは早稲田実の清宮福太郎選手だ。
早実の令和3年の夏は、西東京大会5回戦でシード校の国学院久我山に敗れ、ベスト16で終戦した。3番でレフトの清宮福太郎は主将も務めた。兄は言わずと知れた4学年上の幸太郎(現日本ハム)だ。
思い起こすと――幸太郎は高校入学早々、春の都大会で関東一との準々決勝、オコエ瑠偉(現楽天)と特大ホームランを打ち合い、大騒ぎになった。1年夏の西東京大会、東海大菅生との決勝で5点のビハインドを8回に大逆転して優勝。甲子園でも2本のホームランを放つなど、ベスト4まで進出した。
そして2年秋には都大会優勝、神宮大会では準優勝し、センバツでは1勝を挙げた。3年夏は西東京の決勝で惜敗。甲子園を逃したが2年半の高校球界は幸太郎を中心に回っていたと言っていい。
幸太郎が重ねた公式戦は52試合 (国体を除く)。練習試合なども含め積み重ねた高校通算本塁打は111本で、非公式ながら歴代最多記録を更新するといわれる圧倒的な本数だった。
部内の不祥事、コロナ禍に見舞われた1、2年時
福太郎も北砂リトル、調布シニア、早実と兄と同じ道を歩んできた。そして早実で甲子園に出ることを目標にしていたはずだ。
『自分は甲子園に行くぞ』
幸太郎の日本ハム入団へのはなむけとして、こんなコメントが新聞に載ったのは早実中等部2年の秋のことだ。
高等部に進んだ福太郎の1年時の2019年、経験した公式戦は夏の西東京大会4試合のみだ。春はまだ戦力になっておらず、秋は部内の不祥事により大会を辞退したためだった。
2年になった2020年は早春からコロナ禍に見舞われる。春の都大会は開催されず、夏の甲子園も中止。独自大会は西東京8強止まり。新チームになって兄と同じく主将も務めた秋は、5試合を戦ったが都大会ベスト8で終わった。
そして2021年、春の都大会は初戦負けでわずか1試合。国学院久我山のエースの気迫に押され、1対4で完敗だった。