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「それでも投げるのが楽しい」中日左腕エースがメジャー挑戦→リリーフ転向で異例の3連投→マイナー契約宣告「日本で伝えられない」孤独な奮闘
posted2025/12/04 17:01
喜びも苦しみも味わった1年だった
text by

山田結軌Yuki Yamada
photograph by
Getty Images
ナショナルズでの1年目を終えた小笠原慎之介投手。マイナーとメジャーを行き来した波乱のシーズンはどのようなものだったのか。日本ではあまり伝えられなかった左腕の波乱万丈と現在を、MLB担当の山田結軌記者が綴った。〈全2回の前編/後編を読む〉
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マイナーリーガーで始まったアメリカでの1年目を、メジャーリーガーとして終えた。しかし、シーズン終了後、小笠原慎之介に再び試練が訪れた。
10月29日、メジャー40人枠の契約を外れ、マイナー契約でナショナルズ傘下に所属することが発表された。来季は、マイナー契約からメジャー昇格を目指さなければいけない。メジャー契約の選手としてマイナーで過ごした今季よりも高いハードル、狭き門をクリアしなければならない。
喜びも苦しみも…
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「いろいろ経験した1年でした」
その短い一言に、苦楽を味わった左腕の思いが込められていた。
今年1月、中日からポスティングシステムを利用してナショナルズへ2年350万ドル(約5億3500万円)で移籍。契約がまとまったのは、キャンプイン目前だった。キャンプ中はキッチンのないホテルに滞在したため、外食ばかりの日々だった。
「僕は絶対に日本食がいいとか、こだわりがないので本当になんでもいいんです」
新しい生活環境を楽しみ、文化に飛び込んだ。試行錯誤の日々。手探りの中、マウンドの結果は伴わなかった。先発ローテーション入りを目指した春のオープン戦では5度の先発(12回)で1勝3敗、防御率11.25と打ち込まれた。
マイナーで迎えた開幕
開幕を迎えたのはマイナー3Aロチェスター。4月中旬には右脇腹を痛め、復帰は6月下旬までずれ込んだ。どん底の日々、それでも小笠原が諦めることはなかった。

