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「それでも投げるのが楽しい」中日左腕エースがメジャー挑戦→リリーフ転向で異例の3連投→マイナー契約宣告「日本で伝えられない」孤独な奮闘
text by

山田結軌Yuki Yamada
photograph byGetty Images
posted2025/12/04 17:01
喜びも苦しみも味わった1年だった
メジャー昇格は7月。同6日のレッドソックス戦で初先発するが、2回2/3、7安打4失点でKOされた。同12日のブルワーズ戦では4回4安打3失点。マイナー降格が告げられた。
「スプリングトレーニングから大した結果も出していない。それでも(メジャーに)呼んでくれてすぐ使ってくれた。マイナー落ちもしましたけどいろんな手段を使って、こいつならできるんじゃないか、と信じてくれたり、そういう思いを感じた。先発じゃなくてもチームが求めてくれているなら、そこで仕事をしたいと思った」
「リリーフで入ってもらう」
再昇格した8月2日からはリリーフとして待機した。8月以降、シーズン終了まで約2カ月。21試合(32回)を投げ、1勝0敗、防御率6.47だった。
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「2回目にコールアップ(メジャー昇格)されたときは、どこで投げるかも全然聞いていなかった。球場にいったら、リリーフで入ってもらうから、と。それでも僕はうれしかった」
メジャーのリリーフ投手は100マイル(約161km)前後の速球を投げるパワーピッチャーがゴロゴロいる。小笠原の直球の平均急速は91.1マイル(約146.6km)。無論、力で押すタイプではない。カーブやチェンジアップなど緩急を駆使して、タイミングをずらし、目線を変えさせ、打者に立ち向かう。
異例の3連投もこなして…
再昇格後、その役割はさまざまだった。複数イニング、連投。9月15日からは、メジャーでは異例と言える3連投もこなした。15日のブレーブス戦で36球(2イニング)。普通は、この球数なら連投はない。しかし、16日にダブルヘッダーが組まれていたため、第1試合で1イニングを投げ、1安打無失点に抑えた。3連投目の17日は、1回5安打3失点の炎上。目の前の結果がほしかった左腕としては、悔しい結果だった。だが、降板してからかけられた言葉は意外なものだった。
「誰かが(3連投で)いくしかない、という状況で僕が投げた。成績が出ていないので、本当に申し訳ない、みたいな感じで(首脳陣に)いったら『とりあえず3連投目はそんなのは期待していないから、とにかく無事に投げてくれれば、それでいい』と」

