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実はトップ10が「10年で平均5cmアップ」テニス界が高身長化… “絶滅危惧種” 170cm台の錦織圭が「正直、あれが理想」と言う196cm日本人若手とは?
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山口奈緒美Naomi Yamaguchi
photograph byGetty Images
posted2025/12/02 11:01
2019年、のちに歴代世界1位の最高身長を更新することになるメドベージェフ(198cm)と錦織(178cm)。ここ10年、テニス界の高身長化が進む
2020年から21年にかけて約8カ月間トップ10にいた170cmのディエゴ・シュワルツマンが最後の小兵で、今はトップ10どころかトップ40の中にも一人もいない。圧倒的なパワーに対して、技巧やスピード、スタミナ、頭脳を駆使して挑み、勝負を制するというシーンは減り、ファンはその興奮を失いつつある。
錦織はトップ5経験者で最後の170cm台
その、10年前にいた2人のうちの1人が錦織圭だった。もう1人はダビド・フェレール。ともにグランドスラムの準優勝を経験し、178cmの錦織は4位、175cmのフェレールは3位というキャリアハイを持つが、フェレールは2019年に引退し、錦織が170cm台最後の元トップ5プレーヤーである。
2014年9月から丸3年間トップ10から一度も落ちなかった錦織は、腰痛などの影響で2017年夏以降ツアーを離れて39位まで落としたが、チャレンジャー大会からスタートした2018年に、1シーズンをかけて再びトップ10に戻ってみせた。
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1年2カ月ぶりのトップ10復帰だったが、まさに2メートル超が2人トップ10にランクしていたときで、錦織以外の9人の平均身長は194.2cmだった。故障は宿命だったのかもしれない。再び戦列を離脱しがちになり、1年近く維持したトップ10を去ってから、6年が経過した。
170cmの西岡が感じる変化
以前、錦織よりさらに小さい170cmの西岡良仁がこんな話をしていた。
「錦織選手が4位だった時代のトップ10と今を比べると、あの時代のほうが個性があったと思います。ナダル選手のフォアのスピンだったり、フェデラー選手の誰よりも速い展開力だったり、(ノバク・)ジョコビッチ選手のフレックス(柔軟性)だったり、錦織選手のように相手に読ませないテニスだったり、それぞれ個性がありながら、オールマイティにいろんなことができた。
今は個性よりも、誰が一番強いボールを打てるのかというイメージです。平均身長が高くなったことや、テクノロジーの進化などいろいろあると思いますけど、いわゆるパワー全盛の時代、テニスがすごく変わったと思います」


