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実はトップ10が「10年で平均5cmアップ」テニス界が高身長化… “絶滅危惧種” 170cm台の錦織圭が「正直、あれが理想」と言う196cm日本人若手とは?
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山口奈緒美Naomi Yamaguchi
photograph byGetty Images
posted2025/12/02 11:01
2019年、のちに歴代世界1位の最高身長を更新することになるメドベージェフ(198cm)と錦織(178cm)。ここ10年、テニス界の高身長化が進む
トップ10の6人が190cmオーバーの時代に
あれから約18年、「将来的には190cm以上の選手ももっと出てくる」と言ったサントロは、この間に起こったことをどのくらい想定していただろうか。今のトップ10には190cm以上が6人もいる。
しかも3位のアレクサンダー・ズベレフ(198cm)や6位のテイラー・フリッツ(196cm)は190cm台後半だ。この2人はまだ1位にもグランドスラム・チャンピオンにもなっていないが、198cmのダニール・メドベージェフが2022年に王者となり、歴代王者の中で最高身長だったマラト・サフィンの193cmを抜いた。
また、210cmもあれば逆に支障になるというのはその通りなのだが、2008年にサントロと対戦したときは大学出のプロ1年目だったイズナーはさらに2cm伸ばしながら、10年後に8位まで躍進した。同じ年には203cmのケビン・アンダーソンも自己最高5位までのぼり、トップ10以内に2メートル超の選手が2人いた時期もあった。
10年でトップ10は平均5cmアップ
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現在1位のカルロス・アルカラスは183cmだから、「185cm理想説」は生きているようにも思えるが、今のトップ10の平均身長は190.3cmで、ちょうど10年前の185.2cmと比べても明らかに大型化している。
テニスのプロは今や個人ではなくチームで戦うのが常識となり、体格的に恵まれた選手たちが、若い頃から徹底した管理のもとで充実したトレーニングを積んで、テニスに求められる身体能力を向上させてきた。ラケット・テクノロジーの進化もあり、大きな選手たちが繰り広げるパワフルショットの応酬は息をのむ凄まじさだ。
にもかかわらず、どこか物足りなさを覚えるのは、その戦いの中心から小柄な選手が消えたせいだろう。 20年前のトップ10には4人、10年前にも2人いた170cm台の選手がいなくなった。

