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「ママになってもラグビーをしたい」27歳で出産→競技復帰へ…女子ラグビー元代表候補・青木蘭が語る“育児のリアル”「一番ムカついた言葉は…」 

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大友信彦

大友信彦Nobuhiko Otomo

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photograph byShigeki Yamamoto

posted2025/11/23 11:02

「ママになってもラグビーをしたい」27歳で出産→競技復帰へ…女子ラグビー元代表候補・青木蘭が語る“育児のリアル”「一番ムカついた言葉は…」<Number Web> photograph by Shigeki Yamamoto

高校時代に全国制覇を達成するなど多くの実績を残してきた女子ラグビーの青木蘭。1児の母となった今、再びグラウンドへ戻ることを決めた

――実際に競技復帰を目指したプロセスを聞かせてください。出産何カ月くらいからどんな準備を?

青木 初めての出産だったので、最初のうちは具体的な計画は立てられませんでした。何カ月になったら自分の体がどのくらい戻るか、子供がどのくらい手がかからなくなるのか、すべて初めてでしたから、不安でした。2カ月ごろのときクラブチームの関係者から「いつ復帰するの?」と聞かれてムカついたこともあります。こっちが知りたいよって(苦笑)。

 具体的に復帰スケジュールを考えられるようになったのは生後半年くらいが過ぎてからですね。それまでは眠ることもままならなくて、トレーニングする時間なんて全然取れなかった。でもサクラセブンズの元ヘッドトレーナーで、産前産後の女性アスリートをサポートしている(株)WISの平井晴子さんに体を見ていただいたとき「もう復帰できる体だよ」と言っていただいて、自信が持てました。

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 実際にグラウンドへ行って体を動かし始めたのは産後7カ月からですね。ジョギングから始めて、10カ月でウエートトレーニングを本格的に始めました。

嬉しかった「夫の言葉」は…?

――パートナーの一輝さんは競技復帰に際して、どのような存在になっていますか。

青木 すごく助けてもらっています。よく覚えているのは、初めてトレーニングに行ったとき、夫に娘を見てもらって、終わったときに「ありがとう、ゴメンね」と謝ったら「いやぁ、2人にしてくれてありがとう、楽しかったよ」「今日もめちゃ可愛かったよ」と、すごくポジティブな言葉を返してもらえたことです。

 娘が泣いていたときもあったみたいですが「元気に泣いてたよ~」とか、何でもポジティブに伝えてくれる。「大変だったよアピール」が全然ない。そこはすごく助けられています。

――トレーニングを再開したころは、どんな状態でしたか。

青木 妊娠するとお腹が膨らんで、腹直筋離開といって、腹筋が切れるような状態になりやすいんです。腹筋に力が入らなくて、体のコア(芯)がブレブレ。ウエートも全然上げられませんでした。

 それに、出産のときに広がった骨盤が、戻っても感覚はなかなか戻らない。具体的には、走るときに足がうまく引き上げられない。周りから「足が上がってないよ」と指摘されました。30mダッシュのメニューでは、隣を走る後輩に最初の3歩で3mの差をつけられてしまいました。あとは尿漏れですね。ジャンプをしたとき、タックルされたとき、腹筋に力が入らないから、衝撃で尿漏れしてしまうんです。これは防ぐ方法がなかなかない、すごくネガティブな気持ちになりました。

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