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「ママになってもラグビーをしたい」27歳で出産→競技復帰へ…女子ラグビー元代表候補・青木蘭が語る“育児のリアル”「一番ムカついた言葉は…」
text by

大友信彦Nobuhiko Otomo
photograph byShigeki Yamamoto
posted2025/11/23 11:02
高校時代に全国制覇を達成するなど多くの実績を残してきた女子ラグビーの青木蘭。1児の母となった今、再びグラウンドへ戻ることを決めた
――そこはどう克服したのですか。
青木 自分の体を新しく作り直すんだ、と意識を切り替えました。それまでの自分のことは忘れる。パスを投げても相手まで届かないなんてことはザラにある。プライドがあったら続けられない。辞めたくなります。でも、それが現実なんですね。
体をもとに戻そうとしても戻らない。だから以前の自分と比べるんじゃなく、今の体の自分がゼロから新しくラグビーを始めるんだと。そう考えたら「私、頑張ってるな、偉いな」と、自分をポジティブにみられるようになったんです。
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もうひとつはSNSですね。産後復帰を目指す過程で、家事や育児をしながらトレーニングしている様子を動画で発信してみたら、これが好評で10万回も再生されたんです。コメントにも「こんなトレーニング方法があるんですね」とか、ポジティブな書き込みがたくさんありました。子育ての時期ってどうしても運動不足になりやすい。運動したいけどどうしたらいいかわからないママが多いんですね。そこに、私のナレッジを発信することで、喜んでもらえる。人の役に立てる。
巻き肩を解消するストレッチを紹介したときも「気になっていたところです。やってみます!」というコメントをもらいました。ラグビーをしている高校生からも「ママになって復帰を目指している姿を応援しています」という書き込みをもらったり、たくさんの方がこういう情報を求めているんだな、私の発信も役に立つんだなと知りました。
SNSのファンも女性割合が急増
――発信が、それまでとは違う人に届くようになったのですね。
青木 私のSNSのフォロワーさんは2万人くらいいるんですが、以前は80%が男性だったのが、今は男女が半々になった。女性がグッと増えたんです。
あと、他の競技をしている女性アスリートからの反応もたくさんありました。バスケットボールのWリーグのアカデミーでリモート講演の依頼もいただいて、最初は「女性アスリートの生き方・キャリアアップ」、今回は「女性アスリートのライフプラン」というテーマでお話しさせていただきました。団体だけでなく、個人種目の選手から「発信の仕方を教えてください」という依頼もありました。国体で縁のできた鹿児島の他競技のみなさん向けに講演させていただく機会もいただきました。

