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賛否「ソフトバンク、佐々木麟太郎1位指名でリスクはないのか?」NHK解説者が評価「ドラフトが最も成功した球団」「ドラフト戦略に異変があった球団」 

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遠藤修哉

遠藤修哉Naoya Endo

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posted2025/11/12 11:26

賛否「ソフトバンク、佐々木麟太郎1位指名でリスクはないのか?」NHK解説者が評価「ドラフトが最も成功した球団」「ドラフト戦略に異変があった球団」<Number Web> photograph by Getty Images

ソフトバンクが交渉権を得た米スタンフォード大の佐々木麟太郎

 阪神は1位で大学ナンバーワンスラッガーの呼び声高い創価大・立石正広を3球団競合の末にくじで引き当てると、2位でも東都リーグ2季連続首位打者の日大・谷端将伍、3位でも筑波大の俊足外野手・岡城快生を指名。盤石な投手力を背景に、次世代の野手陣を着々と整備する戦略を見せた。武田氏は、この阪神の動きを、かつて、フロントとして西武ライオンズの黄金時代を築き、その後ホークスでも辣腕をふるった故・根本陸夫氏の哲学と重ね合わせる。

「ホークス時代、根本さんがよく言っていたんです。『チーム作りは野手から始めろ』と。ピッチャーは比較的、即戦力として計算できる。でも、野手が一人前になるには3年はかかる。その代わり、一度レギュラーに定着すれば10年はチームを支える大黒柱になってくれる。そういう長期的な視点でのチーム作りが大事なんだ、と。佐藤輝明もメジャーに行きたいと言い出しているし、野手が必要だろう。まさに、今年の阪神のドラフトは、その哲学を体現しているように見えたよね」

 佐藤輝明や森下翔太など、若い力が育った阪神。そこに新たな才能を加えることで、数年先まで続く黄金時代の礎を築こう、という明確な意図が感じられる、と武田氏は絶賛した。

「ドラフト巧者」に異変か?

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 その一方で、武田氏が「どうなのかな」と首をかしげたのが、広島東洋カープのドラフトだ。例年、一本釣りや隠し玉の発掘で「ドラフト巧者」のイメージが強い広島だが、今年はやや戦略にブレが見られたという。

「広島は、1位指名で立石の抽選を外してしまった。元々、競合を避けて単独指名で良い選手を獲ってくるのが上手い球団というイメージだったけど、今年は勝負にいった。結果的に外れてしまって、仙台大のスイッチヒッターの外野手・平川蓮に行ったけど、少しプランが崩れたのかもしれない。全体的に、今のチームの課題に対してどういう選手を獲りたかったのか、少し見えにくかった印象だ」

 全体を振り返り、武田氏は「今年は社会人選手の指名が少なく、大学生が豊作だったように見えたが、全体的に小粒だった。だからこそ1位指名に競合が少なかったのでは」と総括した。

 各球団の補強ポイントや将来のビジョンが色濃く反映されたドラフト会議。その答え合わせは、数年後のグラウンドで明らかになる。佐々木麟太郎を巡るドラマの結末、そして指名された選手たちがどのような成長曲線を描くのか。来シーズンのペナントレースと共に、彼らの挑戦からも目が離せない。

<《一番驚いたドラフト1位指名》編から続く>

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「佐々木麟太郎ではない…」NHK解説者が一番驚いたドラフト1位指名「外れ外れ1位で彼にいくとは…」「日本ハムのスカウトはよく見ているよ」「本人からLINEがきた」

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