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プロ野球PRESSBACK NUMBER
賛否「ソフトバンク、佐々木麟太郎1位指名でリスクはないのか?」NHK解説者が評価「ドラフトが最も成功した球団」「ドラフト戦略に異変があった球団」
posted2025/11/12 11:26
ソフトバンクが交渉権を得た米スタンフォード大の佐々木麟太郎
text by

遠藤修哉Naoya Endo
photograph by
Getty Images
2025年のプロ野球ドラフト会議。最大のサプライズは、花巻東高校時代に通算140本塁打を記録したスラッガー・佐々木麟太郎だろう。現在は米国の名門スタンフォード大学に籍を置く佐々木を、福岡ソフトバンクホークスと横浜DeNAベイスターズが1位で強行指名、ソフトバンクが交渉権を獲得した。「リスク覚悟の指名」との声も上がる中、この一手は吉と出るのか。
NPB通算89勝を挙げ、現在はNHKの野球解説や明治大学野球部の投手コーチも務める武田一浩氏は、このソフトバンクの指名を「勝算あってこそ」と分析する。【ドラフト総括 全2回の後編/前編も公開中】
NPB通算89勝を挙げ、現在はNHKの野球解説や明治大学野球部の投手コーチも務める武田一浩氏は、このソフトバンクの指名を「勝算あってこそ」と分析する。【ドラフト総括 全2回の後編/前編も公開中】
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ソフトバンクが指名した「本当の理由」
「リスクがあるのは当然。でも、ソフトバンクにはそれを覆すだけの“切り札”があるということです」
佐々木は、23年ドラフトでも1位候補として注目されたが、プロ志望届を提出せずに米国スタンフォード大学に渡った。来年4月に21歳を迎え、同年7月のMLBドラフトでも指名対象の条件を満たすことになる。
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今回のドラフトで交渉権を獲得したソフトバンクの交渉・契約が可能になるのは、大学リーグ戦が終わる来年5月、契約期限は7月末までとなるのだ。たとえ契約できたとしてもチームへの合流は来シーズン途中からになることに加え、MLBから指名される可能性がある中での“強行指名”だった。入団拒否のリスクを伴う「賭け」と大方はみているが、武田氏の見立ては少し違う。
「あの指名は、当然、王(貞治)会長の意志ですよ。それに、麟太郎くんが憧れの経営者として孫(正義)オーナーの名前を挙げていたという話も聞いた。これは大きな交渉材料になりますよ。世界の王会長と、自分が憧れる孫オーナーが直々に出てきて『君が必要だ』と言われたら、気持ちも揺らぎそうだよね」
事実、王会長は指名後、佐々木麟太郎に直接電話し、好感触を得たと伝えられている。
「もしこれで入団しなかったら、“バチが当たる”くらいのインパクトがありますよ(笑)。それだけの熱意と、彼を口説き落とせるという自信がソフトバンク側にあるということでしょう」
「2000年代のホークス打線をもう一度」
さらに、チームの編成事情もこの“賭け”を後押ししたと分析する。

