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「ロウキはベンチで泣いていた」佐々木朗希“じつはロバーツ監督も予想外”だった復活劇…表情激変、ドジャース現地ファンが熱狂する“決定的な理由”
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水次祥子Shoko Mizutsugi
photograph byGetty Images
posted2025/10/24 17:04
ドジャースファンの心を掴んだ佐々木朗希。表情も大きく変わった
「映像化されそうな復活劇だ」
そのときの佐々木の姿を、ファンは忘れられなかった。それだけに地区シリーズでの3イニングの圧巻投球に心を打たれた。米専門メディア「ドジャースネーション」はSNSに、赤い目をした顔のアップと、快投を披露し雄叫びを上げるたくましい姿の2つの佐々木の写真を並べ「どん底からのこれほどのV字回復は、あらゆるテレビ制作会社からドキュメンタリーにさせてくれと申し込みが殺到するくらいドラマチックだ」と投稿した。米国のネット掲示板やSNSでは、こんな声が続々と寄せられた。
「みんな本当にロウキが大好き。試練を乗り越えて大きな存在となってから、さらに愛されるようになった」
「球場のロウキコールはすさまじい大きさだ」
「ロウキがブルペンから出てくるとみんな狂ったように盛り上がる。LAはロウキにぞっこん」
ロッキーとロウキ「踊れロウキ!」
そしてこのロウキフィーバーをさらに勢いづけているのが、登場曲だ。ブルペンの扉が開き、陽気なラテン・ハウスミュージック「Bailalo Rocky」とともに佐々木が飛び出してくると、ドジャースタジアムが沸き上がる。歌詞は「Bailalo Rocky(踊れロッキー)、Sueltale Rocky(弾けろロッキー)」など明るいフレーズが繰り返されるノリの良さで、RokiとRockyの発音が似ていることから「Bailalo Roki」の思いを込めてファンが盛り上がっている。
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Bailalo Rockyは、TikTokやYouTubeで爆発的にバズった曲だった。特にTikTokではこの曲に合わせたダンスチャレンジが流行し、中南米カリブ海やラテン系アメリカ人の若者の間で社会現象を巻き起こすほどの曲になっていた。それを登場曲として使うよう佐々木に勧めたのが、メジャー12年目のベテラン内野手ミゲル・ロハスだった。気配りに長けチーム内でリーダーシップを発揮している兄貴分のロハスは、入団したばかりの佐々木を最初の頃から気づかい、積極的に話しかけていたという。
「ロウキにこの曲がすごく合っていると思ったんだ。それでスプリングトレーニングの間、彼が練習に出てくるたびにこの曲を聴かせて、登場曲に使いなよと言っていた。何度も何度も聴かせて、彼も気に入ってくれたと思う」
陰の仕掛け人は、米メディアの取材にそう明かしていた。
かくして佐々木への熱狂は最高潮へ。佐々木が乗り越えてきたこれまでの試練と、マウンドでの圧倒的姿、そして抜群のノリのBGMが重なって、アメリカ人を虜にした。


