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「じつはフリーマンも苦しんだ」ドジャース大谷翔平“打撃不振の真相”を敏腕コーチが明かす「フリー打撃の効果もあったかもね」突然の大爆発は必然だった
posted2025/10/21 11:05
MLBの歴史に残るパフォーマンスでドジャースをリーグ優勝に導いた大谷翔平
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杉浦大介Daisuke Sugiura
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Sean M.Haffey/Getty Images
ナ・リーグ優勝決定シリーズ(NLCS)第4戦で大谷翔平が魅せた超人的パフォーマンスは永遠に語り継がれるだろう。
ドジャースが2年連続ワールドシリーズ進出を決めた10月17日のブルワーズ戦、大谷は投手として7回途中無失点10奪三振、打者としては3本塁打(2本目は屋根に当たって球場外に出る特大弾)を記録。人呼んで“史上最高のポストシーズン・パフォーマンス”で、現代のベーブ・ルースはまたしてもMLB史にその名を刻んだ。
もっとも、今となっては信じがたいことだが、実はこの試合を迎える前までの時点では“大谷の打撃不振”が大きな話題となっていた。多くの左腕投手を揃えたフィリーズとの地区シリーズでは18打数1安打(打率.056)、9三振と低迷。NLCS開幕前、デーブ・ロバーツ監督は「(大谷が)このままの調子では、ワールドシリーズでは勝てない」と奮起を促していたほどだった。NLCSでも第3戦までは11打数2安打、0本塁打に過ぎなかった。それが第4戦に突如大爆発したがゆえに、その活躍は余計にドラマチックだったのである。
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それでは大谷の不振脱出はどう可能になったのか。そもそも本当に不振だったのか。ドジャースのアーロン・ベイツ打撃コーチに意見を求めた。2023年にドジャースの打撃コーチとなり、大谷の練習をさまざまな形で助けてきた理論家の言葉からは、背番号17の今秋の打撃の真実が見えてくる(以下、ベイツの一人語り)。
大谷の不調をどう見ていた?
(NLCS第4戦での)ショウヘイのパフォーマンスは本当に素晴らしかった。もう、信じられないくらい。ポストシーズンで1試合3本塁打なんて、ほかに言葉が見つからないよ。投手レベルの上がるポストシーズンの試合で、あれほどのパフォーマンスはなかなか見られない。とにかく、すごかったとしか言いようがない。
ここに至るまで、今回のプレーオフではショウヘイの打撃不振が大きな話題になった。ちょこちょこ修正は施してはいたが、私としてはシーズン中にもある好不調の波と同じようなものがここにきただけだと考えている。
それに加え、地区シリーズではフィリーズの左投手陣がとにかく良かった。クリストファー・サンチェス、ヘスス・ルサルド、レンジャー・スアレス、そしてブルペンのマット・ストラームまで。彼らはもともと優れた投手というだけでなく、私たちとのシリーズではほぼ完璧に投げ切っていた。トップクラスの左腕が3、4人もいて、スカウティングレポートでいうところの80点満点中75~80くらいの完成度でショウヘイに投げていた。


