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「ロウキはベンチで泣いていた」佐々木朗希“じつはロバーツ監督も予想外”だった復活劇…表情激変、ドジャース現地ファンが熱狂する“決定的な理由”
posted2025/10/24 17:04
ドジャースファンの心を掴んだ佐々木朗希。表情も大きく変わった
text by

水次祥子Shoko Mizutsugi
photograph by
Getty Images
佐々木朗希が、ドジャースの地元ロサンゼルスで熱狂を巻き起こしている。
ブルペンがドジャースの弱点といわれる中で切り札としての地位を確立、ポストシーズンの救世主となり、チームの2年連続ワールドシリーズ進出に貢献。本拠地ドジャースタジアムのマウンドに佐々木が登場すると、スタンドはスタンディングオベーション、さらには「ロウキコール」の大合唱で熱く盛り上がる。
なぜドジャースファンはこれほどまでに佐々木に熱狂するのか。
驚異的な数字…佐々木の「427」
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もちろん、とんでもない球を投げ、重要な場面で驚異的なパフォーマンスをやってのけることが理由の1つ。100マイル(約161キロ)超えの剛速球が復活し、恐ろしいほど落差のある「パワーフォーク」とも呼ばれるスプリットを織り交ぜたその投球は、見る者を圧倒する。
フィリーズとの地区シリーズ第4戦では1対1の同点で迎えた8回から3番手で登板し3回を無安打無失点、無四球2奪三振に抑える圧巻の投球でチームの延長逆転勝利に貢献し、佐々木への熱狂はさらに高まった。今季ナ・リーグ本塁打王のカイル・シュワーバー、MVPに2度輝いたブライス・ハーパーという強打者を次々に退け、マウンドで見せた力強いガッツポーズはファンを興奮させた。
このときの米中継テレビ局実況は「ロウキ・ササキはもはや、ストライクを投げるマシーンと化しています」と感嘆。投球アナリスト「ピッチングニンジャ」として知られるロブ・フリードマン氏は、9回の3人目の打者マックス・ケプラーから空振りを奪った低めゾーンぎりぎりに落ちた142キロの球を「回転数がわずか427の、ありえないスプリット(又はフォーク)。回転数のデータが記録された2008年以降でここまで低い回転数のスプリットはこれまで1人しかいなかった。アロルディス・チャプマン(キューバのミサイルの異名を持つレッドソックス守護神)だけだ」と目を見張った。MLBでスプリットを投げる投手の平均回転数は約1300だが、1000以下は優秀とされ、700~800ならエリートレベルといわれる。佐々木の427はまさに異次元だった。
ロバーツ監督「感情を乱していた」
しかも佐々木がこのポストシーズンで見せている勇姿は、試練を乗り越えて羽ばたく1人の青年の成長物語という、アメリカ人の心に刺さるサクセスストーリーになっている。

