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中日ドラ1指名“東都最強投手”青学大・中西聖輝とは何者か? 高校時代にあのレジェンドから「ちゃんとやってよ」…ようやくわかった「言葉の意味」
posted2025/10/23 20:34
中日からドラフト1位指名を受けた青学大の中西聖輝。智弁和歌山高校時代にはあのレジェンドから指導も
text by

田口元義Genki Taguchi
photograph by
Shigeki Yamamoto
青山学院大の中西聖輝にとって、10月23日のドラフト会議は野球人生で最大の答え合わせの日でもあった。
「もちろん、1位でプロには行きたいです。そうじゃないとここに来たことへの正解にはならないんで」
中日のドラフト1位。中西が言う「ここ」――青山学院大に進んだからこそ得られた、最も欲しかった答え。背景に息づいたのは、妥協なき修練である。
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ドラフト上位候補として注目を浴び始めていたころの、中西の決意を思い出す。
「『あとがなくなる』という覚悟で大学を選んだので。そういった意味では、厳しい道に進めたのかな、とは思います」
智弁和歌山高時代はイチローから指導も…!
あえて艱難辛苦を望む。後押ししてくれた存在のひとつにイチローがいた。中西が智辯和歌山の2年生だった2020年12月。日米通算4367安打を記録した野球界のレジェンドが初めて高校生を指導するチームに選んだのが、当時3度の全国制覇を誇るこの名門だった。
中西は腰を痛めておりリハビリ中だったため、イチローからの薫陶を直接受けることはなかった。3日間による指導の最後、選手全員に伝えられた「ちゃんとやってよ」も、当時はピンとこなかったのだと振り返る。
「そんときは『ちゃんとやってよ、かぁ……ちゃんとやっているけどなぁ』とか思いながら。そこまで腑に落ちていなかったというか」
今ではイチローの名フレーズにも挙げられる金言を落とし込むことはできなかったが、指導の過程で「刺さる言葉」はあった。
ふたつの道があったら、厳しいほうを選んだほうがいい――。

