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中日ドラ1指名“東都最強投手”青学大・中西聖輝とは何者か? 高校時代にあのレジェンドから「ちゃんとやってよ」…ようやくわかった「言葉の意味」
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田口元義Genki Taguchi
photograph byShigeki Yamamoto
posted2025/10/23 20:34
中日からドラフト1位指名を受けた青学大の中西聖輝。智弁和歌山高校時代にはあのレジェンドから指導も
「結構、自分に甘いところがあって、ランニングメニューとかウエイトで最後までやり切れないところがあって。それが大学に入って『もう1回、真剣にプロを目指す』ってなったときに『ちゃんとやってよって、こういうことか!』と思えるようになりましたね。そこから、甘い自分が出そうになったときに『ちゃんとやろう』って」
そのなかで中西が「ちゃんとやる」にこだわったのが、投げることだった。
そうだ――イチローさんは、キャッチボールから1球を大事にしていた。出力を高めないにしても、投げるボールすべてに意味を持たせようと、自分に言い聞かせた。
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「試合前のブルペンとか試合だけで真剣に投げても、結果に結び付きにくいので。普段から1球、1球、真剣に丁寧に投げていくことによって試合でも厳しく投げ続けられる集中力が身につくんだなと思うようになりました」
大学での成長…東都でもトップ級の投手に
妥協なき道の先に、可能性が広がる。
大学3年となった2024年。中西は台頭を果たす。春の東都大学リーグ戦で2勝を挙げ波に乗ると、秋には6勝無敗でリーグの最優秀投手とベストナインに初選出された。春秋のリーグ戦、全国大会である大学選手権と明治神宮大会を制する「四冠」の原動力のひとりに、確かに中西がいた。
高校時代に149キロだったストレートの最速は152キロまで伸びた。スライダー、カーブ、フォークなど多彩な変化球を駆使して相手を翻弄するピッチングスタイルは、「完成度が高い」とプロから高い評価を得た。

