テレビに映らない大谷翔平:番記者日記BACK NUMBER
ドジャース裏話「このままではWSで勝てない」“不調説”の大谷翔平にロバーツ監督が苦言…じつは「日本ハム時代の栗山監督もそうだった」
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柳原直之(スポーツニッポン)Naoyuki Yanagihara
photograph byNicole Vasquez/Getty Images
posted2025/10/24 11:03
フィリーズとの地区シリーズで快音が聞かれなかった大谷翔平に対して、ロバーツ監督が“苦言”を呈した背景とは
どんなパフォーマンスをしても「普通だよ」と褒めることはせず、結果が出ても常に報道陣の前で厳しい言葉を並べていた。二刀流としての潜在能力を誰よりも評価して実現させた栗山監督は、大谷に対して、常に〈こんなものではない〉〈もっとできる〉と求める水準が高かった。
発奮させる意味合いというより、心の底からそう思っているように見えた。ロバーツ監督も同じかもしれない。いつかマンツーマン取材でその意図を、聞いてみたい。全体会見ではきっと言葉にしないだろうから……。
大谷は“試合開始時間”を意識したのか…
会見終了から約6時間後。ドジャースは今季レギュラーシーズンで6戦全敗を喫した天敵ブルワーズとリーグ優勝決定シリーズで対戦することが決まった。派手な一発は少ないがバントなどの小技や足を駆使し、投手陣も先発、救援ともに速球派がそろう今季メジャー最高勝率球団。私を含めワールドシリーズ連覇への最大のヤマ場になるかもしれないと多くのメディアや野球ファンが感じたことだろう。
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翌12日の全体練習。朝イチでロサンゼルス空港からシカゴ・オヘア空港に約4時間かけて飛び、その後はレンタカーで約1時間30分ほど北上し、ミルウォーキーに到着。時差は2時間進む。前日練習が行われるブルワーズの本拠地アメリカンファミリー・フィールドに着く頃にはもう夕方の17時を過ぎていた。
18時過ぎから始まったドジャースの練習で、大谷がグラウンドに姿を現したのは19時だった。初戦のプレーボールちょうど24時間前。試合開始時間を意識しているのではないだろうか。敵地のグラウンドに出ると、約70~80メートルほどの距離で遠投を入念に行った。最後はフリー打撃中の二塁で打球判断の練習を繰り返した。
打撃面では違う結果を期待している
ロバーツ監督は大谷のリーグ優勝決定シリーズ初戦先発の可能性を示していたが、この日の練習前に初戦はブレーク・スネル、14日の第2戦は山本由伸と発表した。
「4人の先発で7試合を戦う。誰が2度投げられるかが大事。いつ登板するかはまだ決まっていないが、翔平はこのシリーズで1試合だけ投げる」としてタイラー・グラスノー、大谷がそれぞれ第3、4戦に回ることを明かした。
指揮官は大谷の登板を1試合としたが、これは先発という意味だろう。第7戦までもつれれば救援登板などの可能性は残されている。大谷の打撃不振と登板日の影響を「全く関係ない」と否定しつつ「打撃面でこのシリーズは違う結果を出してくれると期待している」と復調に期待した。前日には厳しい言葉を発したが、これも本心だ。

