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「今日は何か起こるぞ…と思ったんだ」ドジャース同僚が振り返る大谷翔平“奇跡の一戦”直前のある予兆…キケは思わず「彼になるのって、楽しいだろうな」
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一野洋Hiroshi Ichino
photograph byGetty Images
posted2025/10/23 06:10
NLCSの最終戦で3本のホームランを放った大谷翔平。特に2本目は推定飛距離143mの場外弾という規格外の一発だった
日々、同じ投手としてその姿を見てきた男が「異次元」と口にする――それは単なる技術の話ではなく、体感としての“異世界”の話なのだろう。
そしてアンドリュー・フリードマン編成本部長は、チーム全体の視点から語った。
「彼自身よりも大きなプレッシャーを彼にかけられる人間はいない。ショウヘイを抑え込めるのは、ほんのわずかな時間だけなんだ」
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長年にわたり数々のスター選手を見てきた球団幹部がそう断言する。もはや大谷という存在が、ドジャースという組織の枠すら超え始めているのかもしれない。
敗軍の将は「PS史上でも最高のパフォーマンス」
そして、敗者もまたその“衝撃の一夜”の証人となった。ブルワーズのパット・マーフィー監督は試合後、言葉を選びながらこう語った。
「今夜、我々は象徴的な試合の一部だった。おそらくポストシーズン史上でも最高の個人パフォーマンスのひとつだろう。誰もそれに異を唱えられない。10奪三振に3本塁打――それだけで十分だ」
勝者の言葉よりも、敗者の声は雄弁だった。大げさではなくその夜、大谷翔平は野球という競技の枠を超えてしまった。あの夜の背番号17は“伝説”になったのである。

