「今日は何か起こるぞ…と思ったんだ」ドジャース同僚が振り返る大谷翔平“奇跡の一戦”直前のある予兆…キケは思わず「彼になるのって、楽しいだろうな」 

　そして4回には469フィート（143メートル）の超特大弾――右中間スタンドの屋根を越えた瞬間、ベンチは一斉に沸き立った。マンシーは手すりを叩き、フレディ・フリーマンは頭を抱え、トミー・エドマンは信じられないというように首を振った。

『ロサンゼルス・タイムズ』が伝えたその場面には、歓声と沈黙が同時に存在していた。そして誰もが「これは普通の試合ではない」と悟っていた。

ベッツ「俺たちはブルズで、ショウヘイは…」

　次打者として間近で見守ったムーキー・ベッツは、深呼吸するように言葉を紡いだ。

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「4回の打球は、誰も息ができなかったと思う」

　そして、試合後のMLBネットワークのインタビューでは、こんな風に語っている。

「俺たちはシカゴ・ブルズで、ショウヘイはマイケル・ジョーダンなんだ」

　冗談めかした一言だったが、チームの空気を正確に言い当てていた。この日の大谷の存在感は、すでに“一戦力”を超えていた。誰もが彼に導かれるようにプレーし、彼が打席に立つたびにスタジアム全体が息を呑む雰囲気になっていたように見えた。

ベッツも「ショウヘイはジョーダン」と脱帽（写真は今年3月のトレーニング）　©︎Nanae Suzuki

　7回にはバックスクリーン左へ3発目のホームラン。投げても6回までに10三振を奪い、ブルワーズ打線を沈黙させた。マーク・プライアー投手コーチは、この日の大谷の投球をこう分析した。

「スプリットが決まった瞬間から、すべての投球が生きた。そこから先は、完全に彼のリズムだった」

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