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「突破確率100%」のはずのCS“王手”ソフトバンクに異変…日ハム逆襲をもたらしたベテラン捕手の戦略「堅く、堅く、痛い目にあわないよう」
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喜瀬雅則Masanori Kise
photograph byHideki Sugiyama
posted2025/10/19 06:00
CSファイナルステージ、初戦でサヨナラ打を放った山川だったが、途中出場した第4戦は日ハムバッテリーの丁寧な配球の前に沈黙した
あくまで貫いたフォーク勝負
初球、137キロのフォークで空振りを奪うと、続く139キロのカットボール、135キロのフォークはボール。カウント2ボール1ストライクとなれば、四球を避けたいこのシチュエーションで、まっすぐを投げたくなる。北山のストレートなら、コースさえ間違えなければその威力とキレで、打ち取れずとも、ファウルになる算段も立つ。
それでも、4球目も139キロの「フォーク」。これで空振りを奪って、2ボール2ストライク。続く5球目、伏見が要求したのは、またもや「フォーク」だった。
意表を突かれたのか、我慢し切れずにバットが出たのか。山川は136キロのフォークを捉え切れずにライトフライ。ストレートを使わないままの5球で、ソフトバンクの追い上げムードを消すことができたのだ。
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失点した3イニングは、いずれも最少失点で切り抜けた。
7回3失点でまとめた北山の踏ん張りと、伏見の冷静な観察眼。35歳のベテランはCSファーストステージを含め、今CS6試合目での初スタメンマスクで「正直緊張したし、不安もかなり強い試合だったんですけど」。負ければ終わり、もう後のない敵地での戦いで、伏見の豊富な経験がまさしく、モノを言った形の快勝劇だった。
一方のソフトバンクは、左わき腹を痛めている近藤健介を今CSでは欠き、今季首位打者の牧原大成は3戦目までで、敬遠の1四球のみ、12打席連続無安打の大ブレーキ状態。4戦目はスタメンを外れた上に出場機会がなかった。栗原も3、4戦で計6三振。中村晃は、病院での検査で「後頭部打撲」と判明したが、連戦となる5戦目の出場は不透明だ。
勢いは間違いなく日ハムに
満身創痍ともいえるソフトバンク。剣が峰からの逆襲で勢いづいてきた日本ハム。
トータルでは、ソフトバンクがアドバンテージを含む3勝2敗で、CS突破に王手をかけた状態だが、今、勢いは間違いなく、日本ハムの方にある。
さあ、どうなる——。
博多での最終決戦は、俄然、盛り上がってきた。

