「突破確率100％」のはずのCS“王手”ソフトバンクに異変…日ハム逆襲をもたらしたベテラン捕手の戦略「堅く、堅く、痛い目にあわないよう」 

　先制した1回は2死一塁から中村晃の右越え三塁打、逆転を許した直後の3回は9番・野村勇の2号ソロ、5点差を追っての5回も、2死一塁から3番・柳町達の左中間突破の適時二塁打が飛び出したが、いずれも1点止まり。もう一押し、2点目、3点目を追加し切れずに、反撃の機運がしぼんでしまうという、何とももどかしい試合展開だった。

　日本ハム側から見ると、失点のイニングをいずれも「最少失点」で抑えたことが、連勝の最大の要因だろう。

伏見寅威の述懐

ベテラン・伏見（右）は北山（中）を冷静にリード、ピンチを常に最少失点で切り抜けた　©Hideki Sugiyama

　試合後、日本ハムの捕手・伏見寅威に、その“戦略”を聞かせてもらうことができた。

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　まず注目したのは、3回だ。

　日本ハムがレイエスの3号2ランなどで、4点を奪って試合をひっくり返した直後。ソフトバンクは9番・野村が2号ソロを右翼席へ運び、これで2点差。2死から柳町が右前打で出塁して、打席には4番・中村晃。1回に先制の右越え三塁打を許している。逆転直後の大量失点は、何としても避けたい場面だ。

　伏見は、冷静にその状況を俯瞰していた。

「短期決戦で、もう先がない。（先発の）北山（亘基）には球数を使ってでも、最少失点に抑えてほしいと、僕は思っていたんで、いつもならもうちょっと球数を少なく、とか、長いイニングを、と思うんですけど、今日に関しては3回、4回で100球行ってもいいな、と自分の中では思っていて、できるだけ痛い目にあわないように、というのは意識していました」

9球を費やしても丁寧に中村晃を抑える

球数を要しても丁寧な配球で中村を一ゴロに打ち取った　©Hideki Sugiyama

　まず5球連続の変化球で、ファウル2球を許しての、カウント2ボール2ストライク。ここから152キロのストレートでファウル、126キロのチェンジアップはボール、再び152キロでファウル。カウント3ボール2ストライクからの9球目は、140キロのカットボール。中村晃の内角を突き、詰まらせての一ゴロに仕留めた。

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