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「“5球団競合”ドラフトの目玉は…阪神へ」「ソフトバンクは誰も知らない“隠し球捕手”指名」ドラフト全指名予想《日ハム・阪神・ソフトバンク編》
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安倍昌彦Masahiko Abe
photograph byShigeki Yamamoto
posted2025/10/21 11:04
複数球団の競合が予想される創価大の立石正広(180cm85kg)
立石選手をとり逃がしても、2位・松下歩叶(法政大)の将来性に期待する。
実直で素直な性格、裏表なく懸命に練習に励む姿は、どこへ進んでも、進んだ先の大人に「なんとかしてあげたい」と思わせる人間性。安定感十分のスローイング、ライナー性の長打力に一瞬の判断力鋭いベースランニング。
今秋の慶應義塾大戦、こんな場面を見た。三塁を守りながら、三塁側ダグアウトの堀井哲也監督が発するサインに、じっと視線を注ぐ。侍ジャパン学生代表の主将として共に戦った「将」のしぐさから、何かを嗅ぎ取ろうとする。嗅ぎ取れるかどうかはともかく、その姿勢が貴い。リーダーの資質も感じる。
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チーム内に見当たらない「左打ちの和製大砲」の期待を込めて、4位・栗山雅也(西南学院大)を指名。水谷瞬、万波中正クラスの雄大な四肢を豪快に躍らせて、当たったら見えなくなるほど飛んでいくスケールが魅力。プロに入って、おそらく足元を襲う変化球には戸惑うだろうが、変化球がつらいのは、超大型ヒッターの常だ。時間をかけて、なじんでいけばよい。
今年の鹿児島は「神村」だけじゃない。
5位・犬窪晴人(樟南高)は実戦力の高いサイドハンドだ。理由は2つ、1つはシュートを持っていること。130キロ台後半で右打者のふところをえぐり、左打者には逃げていく球筋にスイングが届かない。そして、もう一つは、強豪相手でも一歩も退かない強烈な闘争心。精悍そのもののマウンド上の面構えで、真っ向勝負を挑んでいく薩摩隼人。名字は「おおくぼ」じゃない。「いぬくぼ」である。
日ハム「渾身の隠し球」は静岡のスラッガー
6位・渡辺笑生(静岡産業大)。こちらの名前は「わらう」と読む。いい名前じゃないか。但しこの選手、笑ってばかりはいられない学生生活を送ってきた。
入学即レギュラー入りした1年秋のリーグ戦。両翼ほぼ100mの広大な岐阜・長良川球場。その左翼外野席には大きな屋根がかけられていて、その屋根の上をはるかに越えていったあり得ないスーパー特大弾。
いったいどんなホームランバッターに育っていくのかと思っていたら、雨にスリップしたオートバイ事故で左ヒザじん帯断裂と半月板損傷。それでも、倒れたバイクを自分で起こして、押して帰ったというのだから、心身どれだけ屈強なのか。
