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「“5球団競合”ドラフトの目玉は…阪神へ」「ソフトバンクは誰も知らない“隠し球捕手”指名」ドラフト全指名予想《日ハム・阪神・ソフトバンク編》
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安倍昌彦Masahiko Abe
photograph byShigeki Yamamoto
posted2025/10/21 11:04
複数球団の競合が予想される創価大の立石正広(180cm85kg)
手術と長いリハビリで一度は断念しかけた野球人生。なんとか立て直してカムバックして感覚を取り戻した今秋の復活ぶりがハンパじゃない。プレーオフを含めて、リーグ戦5弾。それも、左中間最深部「フェンス直撃か?」のライナーがそのままスタンドインしたり、両翼100m・センター122mの広い静岡・草薙球場の右中間……それも中段へ、右打席から持っていったのだから、「よくぞここまで立て直してきた!」と頭が下がる。
日本ハム、渾身の隠し球。長距離砲ということなら渡辺笑生。最後に笑生者になれ!
「5球団競合」の好打者は阪神が交渉権獲得?
【阪神タイガース 2025年ひとりドラフト指名選手】
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1位 立石正広 22歳 内野手 創価大 180cm87kg 右投右打
2位 山城京平 22歳 投手 亜細亜大 174cm68kg 左投左打
3位 大島正樹 21歳 外野手 創価大 174cm74kg 左投左打
4位 エドポロ・ケイン 22歳 外野手 大阪学院大 190cm100kg 右投右打
5位 斎藤佳紳 22歳 投手 徳島インディゴソックス 181cm86kg 右投右打
6位 中野大虎 18歳 投手 大阪桐蔭高 180cm80kg 右投右打
【阪神 総評】
お見事、ほぼ独走態勢のまま、ペナントレース、ゴールのテープを切った阪神タイガース。
シーズン防御率2.21は、強いといったって山・谷、大波、小波、いろいろあって当たり前のペナントレースの1年を考えたら、ちょっとあり得ない驚異の快挙といってよい。
いっそこれをチャンスに、「投手王国」の立国を目指しても……という声もあったが、打線の中枢を支える選手たちの「次」を準備する時期であることも事実だった。
チームに勢いがあるときは、こうしたものなのかもしれない。何をやっても、上手くいく。
5球団が1位重複した立石正広(創価大)を、抽選箱に最後に残った1枚の封筒で引き当ててしまうのだから、流れはオフになってもタイガースに向いているのか。
来季10年目、満で32歳になる大山悠輔内野手の後釜と言ってしまっては、ちょっと気が早いのか。いやいや、後釜の必要というのは、意外とあっという間にやってくるのだ。
だから来季、満33歳になる近本光司外野手の場合だって、そうだ。これほどの「レジェンド」になると、ふさわしい才能が現れた時にメンバーに連ねておかないと、急な戦力ダウンが発生する。
そこで、3位・大島正樹(創価大)を指名して「転ばぬ先の杖」とする。
ひと口に言って「野球センスの塊」。ジャストミート能力、選球眼、走塁技術とスピード、ポジショニング。挙げたらキリがない。
つまり「天才」。天才だからジャストミートじゃないとガッカリする。ガッカリするから、走りに力が入らない。これが勿体ない。50m6秒0の俊足、左打席から全力疾走されたら、どれだけ内野手があわてることか。そこから内野安打をもらえて得することに気づいていないわけがないのだが、そういう「自分勝手」だけが心配だ。
