「今年の西武は“投手の年”のサイクル？」「最下位脱出の中日は『任せて安心』の本格派右腕をドラ1で」ドラフト全指名予想《西武・中日・楽天編》 

　140キロ台後半の速球にカーブ、スライダー、ツーシーム。今秋はフォークも手の内に入れ、一段と攻略困難な存在にのし上がった。1安打10奪三振の無四球でも勝てなかった国学院大戦に、2安打7奪三振1失点でも勝ちを逸した東洋大戦。この秋は「勝ち運」には恵まれないが、次のステップへの確かな足かがりだけは築いている。「あいつだけは、任せて安心ですから」。投手陣にはいつも辛口の正村公弘監督の信頼も絶大だ。

甲子園を沸かせた横浜高の“二刀流”の名も

　さあ、投手なのか、打者なのか。本人よりも周囲の大人たちが頭を悩ませそうな2位・奥村頼人（横浜高）だが、スタートはやはり「投手」なのか。

　高校生投手でこれだけ打者の様子と実力を見計いながら、自分の出力を加減してギアを上げ下げしながら投げられる投手も、そうはいない。それ自体、高度なピッチングセンスであり、実戦力だ。来季2年目を迎える金丸投手のライバルになる日も近いのではないか。

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　打者なら、岡林勇希外野手に匹敵するバッティングセンスの持ち主。高校時代の長打力なら、奥村投手が一枚上だ。今夏、神奈川県大会の準決勝・決勝の2試合で放った3本塁打。「やられた！」と思った直後に早速やり返す強靭なメンタル。打の勝負根性のほうも、「超」の付く一級品だ。

　3位・秋山俊（中京大）、6位・宮崎海（横浜商科大）。左右の大砲候補2門を指名したのは、2021年の1位・ブライト健太、2位・鵜飼航丞両外野手のお尻を突っつく意味合いもあったのか。

　夏の侍ジャパン大学日本代表選考合宿での秋山俊。平塚球場のライト場外へ見えなくなって消えた一弾には驚いた。大学選手権でもスラッガーの資質を随所に見せて、あとはサウスポー攻略にきっかけを見つけるだけだ。

　同じ平塚での代表選考合宿。多くの打者が力んで気負って、引っぱった長打を指向する中で、唯一、宮崎海だけは、右方向を狙ったコンパクトなスイングを繰り返し、右中間への長打を放っていた。もともと長打力は、愛工大名電高当時から同期の田村俊介（現・広島）クラス。状況を見定めて、自分のスタイルを変えていく人間的なセンスが光った。

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